社会保険の電子申請義務化|特定法人の判定と対象手続き一覧【2026年版】
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社会保険の電子申請義務化|特定法人の判定と対象手続き一覧【2026年版】

2026年8月6日27分で読める

この記事の結論

社会保険の電子申請が義務化されているのは、資本金・出資金の額が1億円を超える法人、相互会社、投資法人、特定目的会社の4類型に当たる「特定法人」で、2020年(令和2年)4月以降に開始する事業年度から、健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届など定められた手続きを電子申請しなければなりません。資本金1億円以下の中小企業や個人事業主は任意です。2025年(令和7年)1月からの労働者死傷病報告などの電子申請義務化は、特定法人に限らず全事業者が対象の別制度で、両者は区別が必要です。(出典: 日本年金機構・厚生労働省「電子申請の義務化」)

社会保険の電子申請義務化は、対象になる「特定法人」の範囲や、資本金1億円という基準の判定タイミング、義務化された手続きの範囲で迷いやすい制度です。この記事では、特定法人の判定基準と対象手続きの一覧を早見表で整理し、社労士が顧問先横断で対象判定と提出状況を管理する実務までを解説します。

社会保険の電子申請義務化とは(制度の全体像)

社会保険の電子申請義務化の全体像マップ(特定法人限定の義務化と2025年1月からの全事業者対象の義務化)
社会保険の電子申請義務化の全体像マップ(特定法人限定の義務化と2025年1月からの全事業者対象の義務化)

義務化の対象は「特定法人」に限られる(開始時期と根拠)

社会保険(健康保険・厚生年金保険)や労働保険の電子申請が義務化されているのは、後述する4類型に当たる「特定法人」だけです。特定法人は、2020年(令和2年)4月以降に開始する事業年度から、定められた手続きを電子申請で行うことが義務づけられました。たとえば事業年度の開始が1月1日の法人なら、2021年1月1日以降に提出する手続きが対象です(出典: 厚生労働省「特定法人に係る電子申請の義務化」Q&A)。根拠は各社会保険・労働保険の施行規則の改正で、2020年4月から順次施行されています。資本金1億円以下の法人や個人事業主は対象外で、電子申請は任意です。

なぜ義務化されたのか(行政手続コスト削減の背景)

電子申請の義務化は、政府全体で進める行政手続コスト(事業者の作業時間)の削減策の一環です。特定法人の事業所が社会保険・労働保険の一部手続きを行う場合は、必ず電子申請で行うこととされました(出典: 厚生労働省・日本年金機構「電子申請の義務化」)。手続き量の多い大法人からデジタル化を進める狙いです。

特定法人の判定基準【フローチャート】

特定法人に該当する4類型(資本金1億円超・相互会社・投資法人・特定目的会社)

特定法人とは、次の4類型のいずれかに当たる法人です(出典: 厚生労働省「特定法人に係る電子申請の義務化」Q&A)。実務上、判定のほとんどは先頭の資本金基準で決まります。

類型内容
資本金等が1億円超の法人事業年度開始時の資本金の額・出資金の額(銀行等保有株式取得機構への拠出金の額を含む)の合計が1億円を超える法人
相互会社保険業法第2条第5項に定める相互会社
投資法人投資信託及び投資法人に関する法律第2条第12項に定める投資法人
特定目的会社資産の流動化に関する法律第2条第3項に定める特定目的会社

資本金1億円超の判定タイミングと注意点(事業年度単位)

特定法人に当たるかは、法人が定める事業年度の開始日を基準に、本店・支店ごとではなく法人単位で判断します(出典: 厚労省Q&A)。ポイントは、資本金の額を事業年度開始の時点で見ることです。開始時に資本金等が1億円を超えていれば、その年度の途中で減資して1億円以下になっても当該年度は対象です。逆に開始時に1億円以下なら、途中で増資して1億円を超えても、その年度は対象外です。増減資を予定する顧問先では、判定時点の取り違えに注意します。

特定法人か3分で分かる自己診断フローチャート

顧問先が特定法人に当たるかは、次の順で確認すると素早く判定できます。まず相互会社・投資法人・特定目的会社のいずれかに当たるかを確認し、いずれにも当たらなければ、直近の事業年度開始日時点の資本金・出資金の合計額が1億円を超えるかを見ます。超えていれば特定法人、1億円以下なら対象外です。判定は毎年度くり返すため、資本金が1億円前後の顧問先は年度ごとに該当・非該当が変わります。

特定法人かどうかを判定する自己診断フローチャート(4類型と資本金1億円超の確認手順)
特定法人かどうかを判定する自己診断フローチャート(4類型と資本金1億円超の確認手順)

義務化の対象手続き一覧【早見表】

義務化対象は保険区分(管轄)ごとに定められています。まず全体を早見表で確認します。

保険区分(管轄)電子申請が義務化されている主な手続き
健康保険・厚生年金保険(日本年金機構)被保険者報酬月額算定基礎届、被保険者報酬月額変更届、被保険者賞与支払届(いずれも70歳以上被用者に係る各届を含む)
労働保険(労働基準監督署等)年度更新に関する申告書(概算保険料申告書・確定保険料申告書・一般拠出金申告書)、増加概算保険料申告書
雇用保険(ハローワーク)被保険者資格取得届、被保険者資格喪失届(離職証明書を含む)、被保険者転勤届、高年齢雇用継続給付の申請、育児休業給付の申請

出所: 厚生労働省「特定法人に係る電子申請の義務化」Q&Aをもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理

義務化対象手続きの保険区分別早見表(健保・厚年の3届出/労働保険の年度更新/雇用保険の資格取得・喪失届など)
義務化対象手続きの保険区分別早見表(健保・厚年の3届出/労働保険の年度更新/雇用保険の資格取得・喪失届など)

社会保険(健康保険・厚生年金)の対象手続き

健康保険・厚生年金保険(日本年金機構が管轄)で義務化されているのは、被保険者報酬月額算定基礎届・被保険者報酬月額変更届・被保険者賞与支払届の3種類です(いずれも70歳以上被用者に係る各届を含みます)。とくに注意したいのは、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届・資格喪失届は、この3届出には含まれない点です(出典: 厚労省Q&A)。資格取得届・資格喪失届は雇用保険側で義務化対象になっており、保険区分ごとに対象が異なります。

労働保険・雇用保険の対象手続き

労働保険(労働基準監督署等が管轄)では、継続事業(一括有期事業を含む)の事業主が提出する年度更新の申告書(概算・確定保険料申告書、一般拠出金申告書)と増加概算保険料申告書が対象です。雇用保険(ハローワークが管轄)では、被保険者資格取得届、被保険者資格喪失届(離職証明書を含む)、被保険者転勤届、高年齢雇用継続給付の受給資格確認・支給申請(高年齢再就職給付金を除く)、育児休業給付の受給資格確認・支給申請が対象です(出典: 厚労省Q&A)。対象法人の範囲は、健保・厚年・雇用・労働の4保険で同一です。

2025年1月に追加された電子申請義務(労働者死傷病報告等・特定法人以外も対象)

2025年(令和7年)1月からは、労働者死傷病報告などの電子申請も原則として義務化されました。これは特定法人の電子申請義務化とは別系統の制度で、特定法人に限らず原則すべての事業者が対象になる点が大きく異なります(出典: 厚生労働省「労働者死傷病報告等の電子申請義務化(令和7年1月施行)」)。あわせて様式も改正されました。労働者死傷病報告のほか、産業医などの選任報告、定期健康診断結果報告、ストレスチェックの結果等報告なども対象です。電子申請が困難な場合は当分の間、書面報告も認められます。2020年4月の特定法人義務化とは対象範囲も施行時期も異なるため、区別して押さえます。

社労士が顧問先を代理申請する場合の準備

GビズID・社労士の電子証明書と提出代行の準備

特定法人の適用事業所が社労士・社労士法人を通じて行う社会保険・労働保険の手続きも、義務化の対象です(出典: 厚労省Q&A)。準備の中心は認証手段で、社会保険手続きの電子申請には「GビズID」のうち「GビズIDプライム」のアカウントが必要です(出典: 日本年金機構「GビズID」)。GビズID(ID・パスワード方式)を使う場合は電子証明書の用意が不要で、従来の電子証明書方式との選択制です。社労士が提出代行・事務代理を行うときは、「提出代行に関する証明書」または「事務代理に関する証明書」をPDFで添付すると、事業主本人の電子署名・電子証明書を省略して代理申請できます。GビズIDで申請する場合は、あわせて社労士証票の添付が必要です(出典: e-Gov電子申請ヘルプ)。

社労士が代理申請するときの準備物(GビズIDプライム・電子証明書・提出代行に関する証明書)
社労士が代理申請するときの準備物(GビズIDプライム・電子証明書・提出代行に関する証明書)

GビズIDの取得やe-Govでの具体的な操作手順は、社労士のe-Gov電子申請のやり方(GビズID・提出代行)で解説しています。

顧問先ごとの対象判定と申請スケジュールの整理

複数の顧問先を担当する社労士にとって難しいのは、申請操作より「どの顧問先が特定法人で、どの手続きが義務化対象か」を毎年度整理し続けることです。顧問先ごとに事業年度の開始月が異なり、判定基準日も申請スケジュールもばらつきます。特定法人の顧問先については、義務化対象の定例手続きを提出期限とセットで顧問先マスタに登録すると、対象の取りこぼしや紙運用への逆戻りを防げます。社労夢やオフィスステーションProなど複数の申請ソフトを併用する場合の住み分けは、社労士の申請ソフト併用ガイド(社労夢・オフィスステーションProとの住み分け)で整理しています。

義務化対応でつまずくポイントと管理体制の整え方

提出期限の抜け漏れと「特定法人だけ紙不可」の運用ミス

つまずきやすいのは、まず提出期限の抜け漏れです。義務化されても提出期限は変わらないため、算定基礎届や年度更新の締切は特定法人の顧問先でも従来どおり守る必要があります。もう一つは「特定法人だけ紙が使えない」という取り違えです。特定法人でも、紙提出が一切認められないわけではありません。電気通信回線の故障や災害などで電子申請が困難と認められる場合や、労働保険の一部手続き(労働保険事務組合への委託、単独有期事業、保険関係成立日から50日以内の申告など)では、電子申請によらない届出が認められます(出典: 厚労省Q&A・リーフレット)。切替が困難でも罰則はありません(出典: 厚労省Q&A)。「特定法人=紙は必ず不可」と単純化せず、原則は電子申請・例外要件もあわせて押さえます。

顧問先別に対象判定と進捗を一元管理する(社労士HUB)

対象判定と期限管理は、顧問先が増えるほど手作業では追い切れなくなります。特定法人かは毎年度の判定が必要で、義務化対象も保険区分ごとに分かれるため、顧問先横断で「誰が特定法人で・どの手続きを・いつ出したか」を一覧化しておくことが要点です。社労士HUBは、顧問先ごとの特定法人の該当・非該当や義務化対象手続きの提出状況を一元管理し、提出期限を自動で通知します。申請自体はe-Govや既存ソフトを併用し、社労士HUBは申請の前後の管理を担います。

顧問先別に特定法人の該当有無と義務化手続きの提出状況を一元管理する運用イメージ
顧問先別に特定法人の該当有無と義務化手続きの提出状況を一元管理する運用イメージ

電子申請の実行はe-Govや社労夢・オフィスステーションProをそのまま使い、社労士HUBは特定法人の対象判定と義務化手続きの提出状況を顧問先横断で一元管理します。乗り換えずに、取りこぼしと期限漏れを仕組みで減らせます。

よくある質問

社会保険の電子申請義務化はいつから始まりましたか?

特定法人は、2020年(令和2年)4月以降に開始する事業年度から、健康保険・厚生年金保険などの定められた手続きの電子申請が義務づけられています。事業年度の開始が1月1日の法人なら、2021年1月1日以降に提出する手続きが対象です(出典: 厚生労働省「特定法人に係る電子申請の義務化」Q&A)。

資本金1億円以下の中小企業も社会保険の電子申請は義務ですか?

いいえ。対象は特定法人(資本金・出資金の合計が1億円超の法人、相互会社、投資法人、特定目的会社)に限られ、それ以外の法人や個人事業主は任意です。ただし2025年1月以降の労働者死傷病報告などは、特定法人に限らず原則すべての事業者が電子申請義務の対象です(出典: 厚生労働省)。

特定法人が電子申請をせず紙で提出したらどうなりますか?

特定法人は原則として電子申請が義務ですが、電気通信回線の故障・災害などで困難と認められる場合や、労働保険の一部手続きでは、電子申請によらない届出が認められます。切替が困難な場合でも罰則は設けられていません(出典: 厚生労働省「特定法人に係る電子申請の義務化」Q&A)。

社労士が顧問先に代わって電子申請するにはどうすればよいですか?

社会保険手続きの電子申請には「GビズIDプライム」または電子証明書を用い、e-Govや申請ソフトから代理申請します。提出代行・事務代理を行う場合は「提出代行に関する証明書」または「事務代理に関する証明書」をPDFで添付すると、事業主本人の電子署名を省略できます(出典: 日本年金機構「GビズID」、e-Gov電子申請ヘルプ)。

社会保険の電子申請義務化の対象手続きは具体的に何ですか?

健康保険・厚生年金保険では被保険者報酬月額算定基礎届・報酬月額変更届・賞与支払届の3種類です(資格取得届・資格喪失届は含まれません)。労働保険では年度更新の申告書など、雇用保険では被保険者資格取得届・資格喪失届・転勤届などが対象です(出典: 厚生労働省「特定法人に係る電子申請の義務化」Q&A)。

まとめ

社会保険の電子申請義務化の対象は、資本金等が1億円を超える法人・相互会社・投資法人・特定目的会社の4類型に当たる「特定法人」に限られ、2020年(令和2年)4月以降に開始する事業年度から適用されます。義務化対象は健保・厚年の3届出(算定・月変・賞与)、労働保険の年度更新、雇用保険の資格取得・喪失届などと保険区分ごとに分かれ、健保・厚年の資格取得届・喪失届が雇用保険側の対象である点に注意が必要です。2025年1月からの労働者死傷病報告などの義務化は全事業者対象の別制度です。顧問先ごとの対象判定と提出状況を一元管理し、原則電子申請・例外要件をあわせて押さえると、義務化対応の抜け漏れを防げます。


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社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化し、e-Gov電子申請や給与計算は行わず既存の申請ソフトと併用します。特定法人の対象判定と義務化手続きの提出状況を一元管理し、提出期限を自動で通知します。月額¥4,980/名(税込・6名以上¥2,980/名)、初期¥30,000(税込)。

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補足: まずは「特定法人 電子申請義務化 移行チェックリスト(対象判定+手続き棚卸し表)」で、顧問先ごとの該当有無と対象手続きの提出状況を点検してみてください。

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