
産休・育休の会社側手続きの流れと期限|社労士向け時系列チェック早見表【2026年版】
この記事の結論
産休・育休で会社側が行う手続きは、妊娠報告後の産前産後休業取得者申出書に始まり、出産手当金の事業主証明、育児休業給付金の初回申請、社会保険料免除の申出、必要に応じた育休延長、復職手続きまでを、それぞれの提出期限から逆算して時系列で進めるのが基本の流れです。
産休・育休の手続きは、一つの出産をきっかけに健康保険・厚生年金・雇用保険の複数制度が数か月にわたり連続します。従業員・顧問先が複数になると期限の逆算が煩雑で抜け漏れが起きやすいため、この記事では妊娠報告から復職までの会社側手続きを時系列で整理し、提出先・期限・回収書類を早見表で解説します。
産休・育休で会社側が行う手続きの全体像【時系列マップ】
妊娠報告から復職までの手続き全体フロー
会社側の手続きは、産前産後休業取得者申出書、出産後の各給付の請求、育休中の社会保険料免除と支給申請、育休延長・復職の4フェーズに分かれます。担当する行政機関(年金事務所・ハローワーク・健康保険)と期限がそれぞれ異なるため、出産予定日と育休開始日を起点に逆算して並べるのが取りこぼしを防ぐ基本です。
提出先・様式・期限の早見表
主な手続きと提出先・期限を一覧にすると、どのフェーズで何が発生するかを把握しやすくなります。

| フェーズ | 会社側の主な手続き | 提出先 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 妊娠報告後 | 産前産後休業取得者申出書 | 年金事務所(健保組合) | 産前産後休業の期間中 |
| 産後 | 出産手当金の事業主証明・請求 | 協会けんぽ・健保組合 | 産後56日経過後にまとめて請求が一般的 |
| 育休開始後 | 育児休業給付金の初回支給申請 | ハローワーク | 育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで |
| 育休開始後 | 育児休業等取得者申出書(社保免除) | 年金事務所(健保組合) | 育児休業の期間中 |
| 復職時 | 社保免除の終了・報酬月額の改定等 | 年金事務所(健保組合) | 復職後すみやか |
出所: 日本年金機構・厚生労働省・全国健康保険協会(協会けんぽ)の公表資料をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。期限を顧問先横断で管理する考え方は顧問先の提出期限を逆算管理する社労士事務所の期限管理も参考にしてください。
給付金と助成金は別物|会社が扱う本人給付の範囲
産休・育休で扱う「給付金」は、出産手当金や育児休業給付金など従業員本人が受け取る所得補償です。会社が受給する両立支援等助成金とは制度も申請期限も異なり、会社側の手続きは本人給付の証明・申請が中心で助成金は別枠で管理します。両者の違いは助成金の申請期限管理(本人向け給付金との違い)で整理しています。
【妊娠報告〜産前】初動でやること
妊娠報告時に顧問先から回収する書類チェックリスト
妊娠報告を受けたら、以降の期限を逆算するための情報と書類を早めに回収します。出産予定日は各手続きの起点になるため、母子健康手帳の写しで確実に押さえます。

| 回収する書類・情報 | 用途 | 依頼先 |
|---|---|---|
| 母子健康手帳の写し(出産予定日がわかる部分) | 産休期間・出産予定日の確認 | 従業員本人 |
| 給付金の振込先口座 | 出産手当金・育児休業給付金の振込 | 従業員本人 |
| 賃金台帳・出勤簿 | 各給付の賃金証明 | 顧問先 |
出所: 各行政手続きの必要書類をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。
産前産後休業取得者申出書の提出時期と提出先
産前産後休業取得者申出書は、事業主が被保険者の産前産後休業の期間中に年金事務所(健康保険組合の加入者は組合)へ提出します(出典: 日本年金機構「産前産後休業期間中の保険料免除」)。この申出で産休中の社会保険料が免除されるため、法定の日数期限はないものの、出産予定日から逆算して休業期間中に確実に提出します。
産休中の社会保険料免除の仕組みと注意点
産前産後休業中は、申出により健康保険料・厚生年金保険料が本人負担分・事業主負担分の両方とも免除されます(出典: 日本年金機構)。免除期間中も被保険者資格は継続し、年金額に不利は生じません。出産日が予定日とずれると休業期間が変動するため、確定後に申出済み期間と実際の休業期間の差を確認します。
【出産後】出産手当金・出産育児一時金・育休給付の請求
出産後は健康保険と雇用保険から3種類の給付が動きます。支給元・金額・会社側の関与が異なるため、まず違いを整理します。

| 給付 | 制度 | 主な内容 | 会社側の関与 |
|---|---|---|---|
| 出産手当金 | 健康保険 | 標準報酬日額の3分の2相当(対象期間内で休み報酬を受けない日) | 事業主証明 |
| 出産育児一時金 | 健康保険 | 1児につき50万円(要件により48.8万円) | 直接支払制度で医療機関へ |
| 育児休業給付金 | 雇用保険 | 育休中の所得補償 | 支給申請 |
出所: 全国健康保険協会(協会けんぽ)・厚生労働省の公表資料をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。
出産手当金の事業主証明と請求の流れ
出産手当金は健康保険の給付で、出産の日(予定日後の出産は出産予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の翌日以後56日までの範囲内で、会社を休み報酬を受けられなかった日が対象です。1日あたりの支給額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で除した額の3分の2相当(1円未満四捨五入)です(出典: 全国健康保険協会「出産手当金」)。会社側は労務に服さなかった期間の事業主証明を行います。
出産育児一時金と直接支払制度の関係
出産育児一時金は出産費用を補助する健康保険の給付です。2023年4月1日以降の出産で、産科医療補償制度に加入する医療機関等において在胎週数22週以降に出産した場合、1児につき50万円が支給されます(未加入の医療機関等や22週未満は48.8万円)(出典: 全国健康保険協会「出産育児一時金」)。多くは直接支払制度で医療機関へ直接支払われ、会社側の事務は軽めです。
育児休業給付金の初回申請と支給対象期間
育児休業給付金は雇用保険からの育休中の所得補償です。受給資格確認と初回申請を同時に行う場合、提出期限は育児休業を開始した日から4か月を経過する日の属する月の末日までで、ハローワークへ申請します(出典: 厚生労働省「育児休業給付のQ&A」)。以降は支給単位期間(通常30日)ごとに申請し、実務では2か月分をまとめることが多く、初回は賃金証明が要るため賃金台帳・出勤簿を早めに回収します。
【育休中〜延長】社会保険料免除の継続と支給申請
育児休業等取得者申出書と社保免除の対象範囲
育児休業中の社会保険料免除は、育児休業等取得者申出書を年金事務所(または健康保険組合)へ提出して申し出ます。免除の対象と期間は次のとおりです。

| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 免除される保険料 | 健康保険料・厚生年金保険料(本人負担分・事業主負担分の両方) |
| 免除の開始月 | 休業を開始した日の属する月 |
| 免除の終了月 | 休業を終了する日の翌日が属する月の前月まで(終了日が月末なら終了月も免除) |
| 育休の月内14日以上ルール(令和4年10月〜) | 育休開始日を含む月に14日以上取得すればその月も免除対象 |
| 賞与に係る保険料 | 賞与月の末日を含む連続1か月超の育休を取得した場合に限り免除 |
出所: 日本年金機構「育児休業等期間中の保険料免除」をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。月内14日以上ルールと賞与分の要件は令和4年(2022年)10月の改正で加わりました(出典: 日本年金機構)。
育児休業給付金の2か月ごとの追加申請
育児休業給付金は初回申請の後も支給申請を続けます。原則は支給単位期間(通常30日)ごとですが、実務ではハローワークの案内に沿って2か月分をまとめて申請することが多くあります(出典: 厚生労働省「育児休業給付のQ&A」)。期限を過ぎると受給できない期間が生じるため、対象者ごとに次回の申請時期を管理します。
育児休業給付金の申請そのものはe-Govや既存の申請ソフトで行い、社労士HUBは対象者ごとに次回の申請時期や社会保険料免除の終了月を育休開始日から逆算して通知し、進捗と書類の回収状況を一元管理します。
育休延長(1歳6か月・2歳)の要件と必要書類
保育所等(無認可施設を除く)の利用を申し込んだが、子が1歳に達する日後の期間について当面利用できない場合などは、育児休業を1歳6か月・2歳まで延長できます。育児休業給付金の延長申請には、原則として延長事由認定申告書、市区町村へ提出した利用申込書の写し、市区町村が発行する入所保留通知書(入所不承諾通知書)等を添付します(出典: 厚生労働省「育児休業給付のQ&A」)。
【2025年改正】出生後休業支援給付金・育児時短就業給付と復職手続き
2025年4月新設の給付金と会社側の対応
2025年(令和7年)4月1日から、両立支援を目的とする2つの給付金が新設されました。会社側は対象になりうる従業員を早期に把握し、申請の可否を確認します。

| 給付金 | 施行 | 主な要件 | 支給内容 |
|---|---|---|---|
| 出生後休業支援給付金 | 2025年4月1日 | 出生直後の一定期間内に被保険者と配偶者がともに14日以上の育休取得等 | 最大28日間、休業開始時賃金日額の13%(育休給付67%と合わせ80%) |
| 育児時短就業給付金 | 2025年4月1日 | 2歳未満の子を養育するため所定労働時間を短縮して就業し賃金が低下等 | 原則、時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額 |
出所: 厚生労働省「育児休業等給付について」をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。出生後休業支援給付金は育児休業給付(給付率67%)と合わせ給付率80%となり、育児休業給付は非課税のため手取りで賃金の約10割相当になります(出典: 厚生労働省)。
復職時の手続き(社保免除終了・養育特例の申出)
復職すると社会保険料免除は終了し、育児休業等取得者の終了に関する届出などが必要です。復職後に短時間勤務などで報酬が下がった場合は、育児休業等終了時の標準報酬月額の改定に加え、将来の年金額で不利にならないよう配慮する養育期間標準報酬月額特例の申出を検討します(詳細な要件は日本年金機構の公表資料で確認)。免除の終了と月額改定の起点は近接するため、復職日を起点に手続きを並べて管理します。
よくある質問
産休・育休の手続きで会社が最初にやることは何ですか?
妊娠報告を受けたら、まず母子健康手帳の写しで出産予定日を確認し、産前産後休業取得者申出書の準備に入ります。この申出書は事業主が産前産後休業の期間中に年金事務所(健康保険組合の加入者は組合)へ提出し、これにより産休中の社会保険料が本人・事業主の負担分とも免除されます(出典: 日本年金機構「産前産後休業期間中の保険料免除」)。
育児休業給付金の初回申請の期限はいつまでですか?
受給資格確認と初回の支給申請を同時に行う場合、提出期限は育児休業を開始した日から4か月を経過する日の属する月の末日までで、ハローワークへ申請します(出典: 厚生労働省「育児休業給付のQ&A」)。以降は支給単位期間(通常30日)ごとに申請し、実務では2か月分をまとめて申請することが多くあります。
出産手当金と出産育児一時金・育児休業給付金の違いは何ですか?
出産手当金は健康保険の給付で、出産前後の一定期間に会社を休み報酬を受けられない日について標準報酬日額の3分の2相当が支給されます。出産育児一時金は出産費用の補助で1児につき50万円(要件により48.8万円)、育児休業給付金は雇用保険からの育休中の所得補償です(出典: 全国健康保険協会)。会社側は主に出産手当金の事業主証明と育児休業給付金の支給申請を担います。
産休・育休中の社会保険料はいつまで免除されますか?
申出書の提出により、休業を開始した日の属する月から、休業を終了する日の翌日が属する月の前月まで、健康保険料・厚生年金保険料が本人・事業主の双方とも免除されます(終了日が月末なら終了月も免除)。育児休業は令和4年(2022年)10月の改正で、育休開始日を含む月に14日以上取得した場合も当月が対象となり、賞与に係る保険料は賞与月の末日を含む連続1か月超の育休に限り免除されます(出典: 日本年金機構)。
育児休業を1歳以降に延長するにはどんな書類が必要ですか?
保育所等(無認可施設を除く)の利用を申し込んだが当面利用できない場合などに1歳6か月・2歳まで延長でき、育児休業給付金の延長申請には延長事由認定申告書・利用申込書の写し・市区町村発行の入所保留通知書(不承諾通知書)等を添付します(出典: 厚生労働省「育児休業給付のQ&A」)。令和7年(2025年)4月1日以降に子が1歳(または1歳6か月)に達する延長では、利用申込みが速やかな職場復帰のために行われたものと認められることが求められ、審査が厳格化されています(出典: 厚生労働省)。
まとめ
産休・育休で会社側が行う手続きは、産前産後休業取得者申出書に始まり、出産手当金の事業主証明、育児休業給付金の初回申請(育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで)、社会保険料免除の申出、育休延長、復職手続きまでが時系列で連続します。制度ごとに提出先と期限が異なり、複数の従業員・顧問先で並行するほど抜け漏れが起きやすくなります。出産予定日と育休開始日を起点に各期限を逆算し、回収書類とあわせて一覧管理することが、産休・育休手続きを漏れなく回す鍵です。
産休・育休の提出期限を逆算で管理
社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化し、e-Gov電子申請や給与計算そのものは行わず既存ソフトと併用します。出産予定日や育休開始日から各手続きの提出期限を逆算して自動通知し、母子健康手帳の写しなど従業員から集める書類の回収状況も可視化できます。月額¥4,980/名(税込・6名以上¥2,980/名)、初期¥30,000(税込)。
補足: 「産休〜復職 全手続き期限早見表+顧問先書類回収チェックリスト」を無料でダウンロードいただけます。
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