離職証明書の賃金支払基礎日数の数え方|賃金形態別早見表と11日・80時間ルール【2026年版】
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離職証明書の賃金支払基礎日数の数え方|賃金形態別早見表と11日・80時間ルール【2026年版】

2026年7月22日24分で読める

この記事の結論 離職証明書の賃金支払基礎日数は、完全月給制なら賃金計算期間の暦日数、日給月給制なら1ヶ月分の基礎日数から欠勤日数を差し引いた日数、日給・時給制なら出勤日数に有給休暇取得日や休業手当が支払われた日を加えた日数で数え、賃金形態ごとに数え方の起点が変わります。そのうえで賃金支払基礎日数が11日以上の月を被保険者期間の1ヶ月として計算し、離職日が令和2年8月1日以降で被保険者期間が足りない場合に限り、80時間以上の月を算入できます。

離職者が出るたびに作成する離職証明書では、⑨欄・⑪欄に記入する賃金支払基礎日数の数え方が賃金形態によって変わり、社労士事務所でも迷いやすい箇所です。数え違いは被保険者期間の判定や失業給付の受給資格に直結し、そもそも出勤簿・賃金台帳の回収漏れがミスの温床になります。この記事では賃金形態別の数え方を早見表で整理し、11日ルール・80時間ルールと、元資料を確実にそろえる実務までを解説します。

離職証明書の賃金支払基礎日数とは|定義と被保険者期間での役割

賃金支払基礎日数の定義と離職証明書での記入欄

賃金支払基礎日数とは、その月に賃金の支払対象となった日数のことです。離職証明書では、⑧欄(被保険者期間算定対象期間)に対応する⑨欄と、⑩欄(賃金支払対象期間)に対応する⑪欄に記入します(出典: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方(初めての方向け)」)。年次有給休暇を取得した日や半日出勤の日も、賃金支払の基礎となった日として1日と数えて計上します。なお賃金支払基礎日数が10日以下の月は、⑬欄(備考欄)にその期間の労働時間数を記載します(離職日が令和2年8月1日以降の場合)。

被保険者期間を「11日以上の月=1ヶ月」で数える仕組み

被保険者期間の判定フロー(11日ルールと80時間ルール)
被保険者期間の判定フロー(11日ルールと80時間ルール)

賃金支払基礎日数が重要なのは、失業等給付の受給資格を左右する被保険者期間の計算に使うためです。被保険者期間は、離職日から1ヶ月ごとに区切った各期間のうち、賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月を1ヶ月として計算します(出典: 雇用保険法第14条第1項)。失業等給付を受けるには、原則として離職日以前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上必要です(特定受給資格者・特定理由離職者は離職日以前1年間に通算6ヶ月以上)(出典: 厚生労働省リーフレット「失業等給付の受給資格を得るために必要な『被保険者期間』の算定方法が変わります」)。この11日を満たす日数の数え方が、賃金形態ごとに変わります。

賃金形態別の賃金支払基礎日数の数え方【早見表】

賃金支払基礎日数の起点は賃金形態によって異なります。まず全体像を早見表で確認しましょう。

賃金形態別 賃金支払基礎日数の数え方早見表
賃金形態別 賃金支払基礎日数の数え方早見表
賃金形態賃金支払基礎日数の数え方記入例・注意点
完全月給制(年俸制など)賃金計算期間の暦日数をそのまま記入4月分=30日、5月分=31日
日給月給制1ヶ月分の基礎日数から欠勤日数を差し引く暦日数を基礎とする場合は「暦日数−欠勤日数」
日給制・時給制出勤日数+有給休暇取得日数+休業手当が支払われた日短時間でも出勤した日は1日
共通有給休暇取得日・半日出勤の日も1日として計上賃金支払の基礎となった日だから

(出所: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方(初めての方向け)」「離職証明書記載例」をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理)

完全月給制は賃金計算期間の暦日数で数える

賃金を月単位で定め、欠勤・遅刻早退をしても基本給等を減額しない完全月給制(年俸制を含む)は、その賃金計算期間の暦日数をそのまま賃金支払基礎日数として記入します(出典: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方」)。賃金計算期間が暦月どおりなら、4月分は30日、5月分は31日と数えます。土日祝も含めた暦日数で数える点が、欠勤で日数が減る日給・時給制との大きな違いです。

日給月給制は暦日数から欠勤日数を差し引く

賃金を月単位で定めつつ、欠勤すると賃金が減額される日給月給制は、1日あたりの賃金額の算出方法に応じた1ヶ月分の基礎日数から欠勤控除日数を差し引いて数えます。基礎日数の取り方は(1)年間出勤日数÷12、(2)該当月の暦日数、(3)該当月の所定出勤日数のいずれかで、賃金の計算方法によって決まります(出典: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方」)。暦日数を基礎とする場合は「暦日数−欠勤日数」です。遅刻・早退などで一部でも出勤した日は欠勤日数に含めません。端数は小数点を切り上げます。

日給・時給制は出勤日数に有給休暇取得日を加える

日給制・時給制は、出勤日数に有給休暇取得日数と、会社都合による休業日(休業手当が支払われた日)を加えた合計を記入します(出典: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方」)。短時間でも出勤している日は1日と数えるため、時間の長短は日数に影響しません。パート・アルバイトが多い顧問先では、数え方を誤ると11日ラインをまたぎやすいため、出勤簿と突き合わせて丁寧に数えます。

11日未満でも算入する「80時間ルール」と変則勤務の数え方

80時間ルールの適用条件(11日基準で被保険者期間が不足する場合に限る)
80時間ルールの適用条件(11日基準で被保険者期間が不足する場合に限る)

80時間以上の月を被保険者期間に算入できる要件(2020年8月改正)

賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1ヶ月とするのが原則ですが、11日基準で計算した被保険者期間が12ヶ月(特定受給資格者・特定理由離職者は6ヶ月)に満たない場合に限り、賃金支払基礎日数が11日未満の月でも、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1ヶ月として算入できます(出典: 雇用保険法第14条第3項)。この算定方法は令和2年8月1日施行の改正で導入され、離職日が同日以降の人に適用されます(出典: 厚生労働省リーフレット・LL020615保01)。あくまで11日基準を補う補完的な基準で、11日未満なら常に算入できるわけではありません。

介護・医療の夜勤など暦日をまたぐ勤務の数え方

介護・医療などで暦日をまたぐ夜勤がある場合、賃金支払基礎日数の数え方に迷いやすくなります。日給・時給制について官公式の資料が示すのは「短時間でも出勤している日は1日と数える」までで、暦日をまたぐ夜勤を何日と数えるかは明示されていません。実務上は出勤した1勤務を1日として扱うのが一般的ですが、賃金計算期間の区切りと勤務の対応づけは就業規則や賃金締めによって変わるため、判断に迷う場合は管轄のハローワークに確認するのが安全です。

月途中入社・休職・欠勤が多い月で間違えやすい点

月の途中で入社・退職した月や、休職・欠勤が多い月は、賃金支払基礎日数が11日前後になりやすく、判定ミスが起きやすい箇所です。被保険者期間は離職日から1ヶ月ごとにさかのぼって区切り、その区切りごとに11日以上(または80時間以上)を満たすかを見ます。賃金支払基礎日数が10日以下になる月では⑬欄に労働時間数を記載し、境界に近い月ほど出勤簿・タイムカードの実データで裏付けることが欠かせません。

賃金支払基礎日数の記入ミスを防ぐ書類回収と電子申請の実務

賃金支払基礎日数(日数)とは別に、⑫欄には各月の賃金額を記入します。算入する賃金と除外する賃金は次のとおりで、日数の数え方とは考え方が異なります。

離職証明書の賃金額に算入する賃金・除外する賃金の一覧
離職証明書の賃金額に算入する賃金・除外する賃金の一覧
区分賃金額への扱い根拠
通勤手当(交通費)算入(数ヶ月分の定期代は1ヶ月相当額を各月へ割り振る)労働の対償として支払う賃金
住宅・役職・家族・時間外手当など毎月支払う手当算入労働の対償として支払う賃金
賞与(3ヶ月超)・退職金(臨時の賃金)除外賃金日額の算定から除く
結婚祝金など慶弔見舞金除外労働の対償でなくそもそも賃金でない

雇用保険法上の「賃金」は、名称を問わず労働の対償として事業主が労働者に支払うものを指します(出典: 雇用保険法第4条第4項)。したがって賞与や退職金は賃金日額の算定から除かれ、慶弔見舞金は労働の対償でないためそもそも賃金に当たりません(出典: 雇用保険法第17条第1項)。

賃金台帳6ヶ月・出勤簿12ヶ月を確実に回収する仕組み化

出勤簿・賃金台帳の回収からe-Gov申請までの実務フロー
出勤簿・賃金台帳の回収からe-Gov申請までの実務フロー

正しい記入には、出勤簿・タイムカードと賃金台帳・給与明細が欠かせません。確認資料として、賃金支払基礎日数(⑧⑨欄)が11日以上の月は直近12ヶ月分、賃金額(⑩⑪⑫欄)は賃金締切日単位で直近6ヶ月分を添付します(65歳以上は基礎日数6ヶ月分)(出典: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方」)。数え違いの多くは、これらの元資料の欠落や回収遅延に起因します。顧問先ごとにばらつく回収を、依頼から受領・進捗まで可視化して仕組み化すると、記入前の抜け漏れを防げます。回収の具体的な流れは出勤簿・賃金台帳の回収フローも参考にしてください。

顧問先からの出勤簿・賃金台帳の回収に課題があれば、書類回収ワークフローを無料で製品体験できます。依頼・提出・未提出リマインドを一つの画面で管理できます。

e-Gov電子申請と併用した入力チェックの流れ

離職証明書の作成・提出そのものは、これまで使っているe-Govや既存の申請ソフトをそのまま使います。社労士HUBは申請を行うツールではなく、申請の前後にある書類回収・期限・進捗の管理を担う設計です。回収した出勤簿・賃金台帳を根拠に日数と賃金額を入力し、11日・80時間ラインをまたぐ月がないか確認してからe-Govで提出すると、差し戻しを減らせます。退職に伴う手続き全体の流れは従業員の退職手続き完全ガイドで確認できます。

よくある質問

離職証明書の賃金支払基礎日数は有給休暇も含めて数えますか?

年次有給休暇を取得した日も、賃金支払の基礎となった日として賃金支払基礎日数に含めて数えます。日給・時給制では出勤日数に有給休暇取得日を加え、完全月給制はもともと暦日数で数えるため個別に加算する必要はありません(出典: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方」)。

賃金支払基礎日数が11日未満の月は被保険者期間に入りませんか?

原則は賃金支払基礎日数が11日以上の月のみを1ヶ月として算入します。ただし離職日が令和2年8月1日以降で、11日基準で計算した被保険者期間が12ヶ月(特定受給資格者・特定理由離職者は6ヶ月)に満たない場合に限り、賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1ヶ月として算入できます(出典: 雇用保険法第14条第3項)。

完全月給制の賃金支払基礎日数は何日と書きますか?

欠勤しても給与が減額されない完全月給制では、その賃金計算期間の暦日数(たとえば4月分なら30日)をそのまま賃金支払基礎日数として記入します。土日祝を含めた暦日数で数える点が、日給・時給制との違いです(出典: 愛知労働局ハローワーク「離職証明書の書き方」)。

月の途中で入社・退職した場合の賃金支払基礎日数はどう数えますか?

在籍していた期間について、賃金形態に応じて数えます(日給・時給制は出勤日数+有給休暇取得日、日給月給制は在籍期間の基礎日数から欠勤日数を差し引く)。被保険者期間は離職日から1ヶ月ごとにさかのぼって区切り、各区切りが11日以上、または80時間以上かで判定します。

賃金支払基礎日数と、賃金額に含める手当は同じ考え方ですか?

別の考え方です。賃金支払基礎日数は「日数」の数え方で、賃金額(⑫欄)には通勤手当や時間外手当など労働の対償として毎月支払われる手当を算入し、賞与や3ヶ月を超える期間ごとに支払う賃金・退職金・慶弔見舞金は除きます(出典: 雇用保険法第4条第4項・第17条第1項)。

まとめ

離職証明書の賃金支払基礎日数は、完全月給制なら賃金計算期間の暦日数、日給月給制なら基礎日数から欠勤日数を差し引いた日数、日給・時給制なら出勤日数に有給休暇取得日や休業手当が支払われた日を加えた日数で数えます。賃金支払基礎日数が11日以上の月を被保険者期間の1ヶ月とし、離職日が令和2年8月1日以降で被保険者期間が足りない場合に限り80時間以上の月を算入できます。数え違いの多くは出勤簿・賃金台帳の欠落や回収遅延に起因するため、元資料を確実にそろえる仕組みづくりが正確な離職証明書作成の土台になります。


離職証明書の元資料を確実にそろえる

社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化したクラウドで、e-Gov電子申請や給与計算は行わず既存ソフトと併用します。賃金台帳・出勤簿の回収と提出期限を仕組みで管理し、賃金支払基礎日数の記入に必要な元資料をそろえます。月額¥4,980/名(税込・6名以上¥2,980/名)、初期¥30,000(税込)。

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補足: まずは「離職証明書作成のための回収書類チェックリスト(賃金台帳6ヶ月・出勤簿12ヶ月ほか)」から、必要書類の抜け漏れを点検してみてください。

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