
退職手続き 会社側の期限チェックリスト|社保・雇用保険・住民税を漏れなく【2026年版】
この記事の結論 退職手続きで会社側が行う手続きは社会保険・雇用保険・住民税・所得税の4系統で、法定期限は社会保険の資格喪失届が退職日の翌日から5日以内、雇用保険の資格喪失届が10日以内、住民税の異動届が退職翌月の10日まで、源泉徴収票の交付が退職後1ヶ月以内と手続きごとに異なるため、退職者単位で期限を並べて管理するのが漏れを防ぐ最短ルートです。
従業員の退職が決まると、会社側は複数の役所に対して別々の期限で届出を出さなければなりません。期限が近接するうえ、社労士事務所では顧問先ごと・退職者ごとに手続きが分散するため、どこかの提出を落とすリスクが常につきまといます。この記事では、退職時に会社側が行う4系統の手続きと法定期限を早見表で整理したうえで、退職者単位で漏れなく回すための進捗管理の考え方までを解説します。
退職手続き 会社側の全体像と期限早見表
退職時に会社側が行う4系統の手続き(社会保険・雇用保険・住民税・所得税)
退職手続きは、担当する役所と法律の系統で分けると整理しやすくなります。会社側が行うのは大きく、健康保険・厚生年金保険の資格喪失(年金事務所または事務センター)、雇用保険の資格喪失と離職票の交付(ハローワーク)、住民税の特別徴収の異動(市区町村)、所得税の源泉徴収票の交付(退職者本人・税務署)の4系統です。系統ごとに提出先も期限も根拠法令も異なるため、「どの役所に・いつまでに・何を出すか」をセットで押さえます。まずは全体像を早見表で確認しましょう。
【早見表】手続き別の期限・提出先・様式一覧
下表は、退職時に会社側が行う主な手続きを、法定期限・起算日・提出先で一覧化したものです。届出名がそのまま様式名にあたります。

| 手続き(届出名) | 法定期限 | 起算日 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届 | 5日以内 | 退職日の翌日(資格喪失日) | 年金事務所または事務センター(協会けんぽ)※健保組合は健康保険分を組合へ |
| 雇用保険 被保険者資格喪失届 | 10日以内 | 被保険者でなくなった日(離職日の翌日)の翌日から起算 | 事業所を管轄するハローワーク |
| 住民税 給与所得者異動届出書 | 翌月10日まで | 給与の支払を受けなくなった月の翌月 | 市区町村 |
| 給与所得の源泉徴収票 | 1か月以内 | 退職の日以後 | 退職者本人(1通は税務署長へ) |
出所: 日本年金機構「従業員が退職・死亡したときの手続き」・雇用保険法施行規則・地方税法および各市区町村・所得税法第226条をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。
なお資格を失う日(資格喪失日)はいずれも退職日そのものではなく退職日の翌日ですが、社会保険は資格喪失日から5日以内、雇用保険は「被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内」と起算点がさらに1日ずれるため、退職者ごとに実際の暦日で期限日を確定しておくのが安全です(出典: 日本年金機構、雇用保険法施行規則)。
社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失手続き
被保険者資格喪失届は退職日の翌日から5日以内

健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届は、退職日の翌日(資格喪失日)から5日以内に提出します(出典: 日本年金機構「従業員が退職・死亡したときの手続き」)。提出先は、協会けんぽ加入の事業所なら年金事務所または事務センターです。健康保険組合に加入している事業所は、厚生年金分を年金事務所・事務センターへ、健康保険分を加入する健康保険組合へと提出先が分かれる点に注意します。4系統のなかで最も期限が短く、退職の連絡を受けた時点で真っ先に着手する手続きです。
健康保険被保険者証の回収と添付・未回収時の対応
資格喪失の手続きでは、退職者本人分と被扶養者分の健康保険被保険者証(保険証)を回収し、資格喪失届に添付して返却します。退職者が保険証を紛失していたり、扶養家族分が手元になかったりして回収が間に合わないケースもあります。その場合は健康保険被保険者証回収不能・滅失届など所定の届出を添えて手続きを進めるのが原則で、回収できないことを理由に資格喪失届の提出自体を遅らせないことが重要です(出典: 日本年金機構)。
任意継続・国民健康保険への切替案内(会社側の対応範囲)
退職後の医療保険について、退職者から相談を受けることもあります。選択肢は、健康保険の任意継続被保険者になる、国民健康保険に加入する、家族の被扶養者になるのいずれかです。任意継続や国民健康保険の加入申請は退職者本人が行う手続きであり会社側の法定期限ではないため、会社としては「どこへ・いつまでに手続きすればよいか」を案内する範囲にとどめるのが実務上の整理になります。
雇用保険の資格喪失と離職票の交付
雇用保険被保険者資格喪失届は10日以内(起算日は資格喪失日の翌日)

雇用保険被保険者資格喪失届は、被保険者でなくなった日(離職日の翌日)の翌日から起算して10日以内に、事業所を管轄するハローワークへ提出します(出典: 厚生労働省、雇用保険法施行規則)。社会保険が「退職日の翌日から5日以内」なのに対し、雇用保険は起算点がさらに1日後ろにずれるため、同じ退職者でも社会保険と雇用保険で期限日が別々になります。
離職証明書と離職票の発行・交付義務
離職票の交付を希望する退職者がいる場合は、資格喪失届に雇用保険被保険者離職証明書を添えて提出し、ハローワークから交付された離職票を退職者に渡します。離職票の交付は原則として退職者が希望する場合に必要ですが、離職日に59歳以上の退職者については、本人が希望しない場合でも離職証明書の添付(=離職票の交付)が必要です(出典: 雇用保険法施行規則)。
離職理由の記載と本人記名でトラブルを防ぐ
離職証明書には離職理由を記載し、退職者本人の記名(確認)を受ける欄があります。会社が記載した離職理由と退職者の認識が食い違うと、失業給付の給付制限や所定給付日数に影響し、後日の争いに発展することがあります。離職理由の根拠となる退職届・退職勧奨の記録・雇止めの通知などをあらかじめそろえ、本人の確認を得てから提出することで、離職理由をめぐるトラブルを防ぎやすくなります。区分の判定に迷う場合はハローワークに確認しながら進めるのが安全です。
住民税・所得税など税務の退職手続き
住民税の給与所得者異動届出書は退職翌月10日まで

給与から住民税を天引き(特別徴収)していた退職者については、給与所得者異動届出書を市区町村へ提出します。提出期限は、給与の支払を受けなくなった月の翌月10日までです(地方税法第321条の5第3項等に基づく/出典: 各市区町村・地方税法)。退職時期によって残りの住民税の扱いが変わり、1月1日から4月30日までに退職した場合は、5月31日までに支払われる給与や退職手当から未徴収分を一括徴収するのが原則です(地方税法第321条の5第2項ただし書)。6月1日から12月31日の退職は普通徴収への切替が原則で、本人の申出があれば一括徴収を選べます。
源泉徴収票の交付は退職後1か月以内
所得税の関係では、退職者に給与所得の源泉徴収票を交付します。年の中途で退職した人については、退職の日以後1か月以内に、給与所得の源泉徴収票を1通は税務署長へ提出し、他の1通を退職者本人へ交付する義務があります(所得税法第226条第1項/出典: 所得税法)。源泉徴収票は転職先の年末調整や本人の確定申告に使われるため、交付が遅れると退職者側の手続きが止まります。最終給与や賞与が確定したらすみやかに発行します。
退職金がある場合の退職所得の源泉徴収と申告書
退職金(退職手当等)を支払った場合は、給与とは別に退職所得の源泉徴収と、退職所得の源泉徴収票の交付が必要です。退職手当等を支払ったときは、退職の日以後1か月以内に退職所得の源泉徴収票を交付します(所得税法第226条第2項/出典: 所得税法)。退職者から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていれば適正な源泉徴収税額で精算でき、提出がないと一律の税率で源泉徴収したうえで本人が確定申告で精算することになります。
顧問先の退職手続きを漏れなく回す進捗管理
顧問先別・退職者別の退職手続き進捗テンプレの作り方

社労士事務所では、複数の顧問先で同時並行に退職が発生します。取りこぼしを防ぐには、退職者ごとに1行を立て、社会保険5日・雇用保険10日・住民税翌月10日・源泉徴収票1か月以内の各期限日と、回収から作成・提出・控え保管までの進捗を並べた進捗テンプレが有効です。顧問先名・退職者名・退職日を入れれば各期限日が自動で決まる形にしておくと、退職の連絡を受けた瞬間に何をいつまでに出すかが確定します。期限日の考え方は社労士の期限管理(法定期限の一元アラート)もあわせて参照してください。
5日・10日など期限差を取りこぼさないアラート設計
退職手続きは期限が近接し、しかも起算日が手続きごとに違うため、締切の何日前に誰へ通知するかを設計しておくことが重要です。Excelや紙の台帳では起算日の違いを反映しきれず、担当者の記憶頼みになりがちです。退職者ごとに期限日を自動計算し、期日前に多段階でリマインドする仕組みにしておくと、繁忙期でも取りこぼしを減らせます。書類の回収状況は顧問先からの書類回収ワークフローと連動させると、未提出のまま期限を迎える事態を防ぎやすくなります。
書類回収から提出までの一元管理(社労士HUB併用)
退職手続きで必要な保険証や離職理由の根拠資料は顧問先から回収する必要があり、回収の遅れがそのまま提出遅れにつながります。入社時の入社手続きの必要書類(資格取得届)と同様に、退職時も「誰から・いつまでに・何を」を標準化しておくと催促の手間を減らせます。
退職の届出そのものはe-Govや既存の申請ソフトで行い、社労士HUBは退職者ごとに5日・10日・翌月10日といった期限を自動計算・多段通知し、書類回収から提出までの進捗を一元管理します。申請ソフトを乗り換えずに、期限の取りこぼしを仕組みで減らせます。
よくある質問
退職手続きで会社側の期限が一番短いのはどれですか?
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者資格喪失届で、退職日の翌日(資格喪失日)から5日以内に年金事務所または事務センターへ提出します(出典: 日本年金機構「従業員が退職・死亡したときの手続き」)。雇用保険の資格喪失届は10日以内のため、5日以内の社会保険がもっとも短い期限です。
退職者の源泉徴収票はいつまでに渡す必要がありますか?
年の中途で退職した人については、退職の日以後1か月以内に給与所得の源泉徴収票を交付する義務があります(所得税法第226条第1項/出典: 所得税法)。転職先の年末調整や本人の確定申告に使われるため、実務では最終給与の確定後すみやかに発行するのが安全です。
離職票は会社が必ず発行しないといけませんか?
退職者が交付を希望する場合は必ず発行します。さらに離職日に59歳以上の退職者は、本人が希望しない場合でも離職証明書の添付(=離職票の交付)が必要です(出典: 雇用保険法施行規則)。手続きは雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を、事業所を管轄するハローワークへ提出します。
退職者の住民税はどう手続きすればよいですか?
給与所得者異動届出書を、給与の支払を受けなくなった月の翌月10日までに市区町村へ提出し、普通徴収への切替または一括徴収を選びます(地方税法第321条の5第3項等に基づく/出典: 各市区町村・地方税法)。退職時期で扱いが変わり、1月1日から4月30日までの退職は、5月31日までに支払う給与や退職手当から未徴収分を一括徴収するのが原則です(地方税法第321条の5第2項ただし書)。
退職手続きを顧問先ごとに漏れなく管理するコツはありますか?
手続きごとに期限が異なるため、退職者単位で「回収→作成→提出→控え保管」の進捗と各期限日を一覧化するのが有効です。社労士HUBでは退職者ごとに5日・10日・翌月10日といった期限を自動アラートし、書類回収から提出までを一元管理できます。
まとめ
退職手続きで会社側が行うのは、社会保険・雇用保険・住民税・所得税の4系統の手続きです。法定期限は社会保険の資格喪失届が退職日の翌日から5日以内、雇用保険の資格喪失届が10日以内、住民税の異動届が退職翌月の10日まで、源泉徴収票の交付が退職後1か月以内と、手続きごとに期限も起算日も異なります。とくに社会保険と雇用保険は起算日が1日ずれるため、数字だけを覚えると数え違いのもとになります。退職者単位で各期限日と回収・作成・提出・控え保管の進捗を並べて管理することが取りこぼしを防ぐ最短ルートになります。
退職手続きの期限を1件も落とさない
社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化したクラウドで、e-Gov電子申請や給与計算は行わず既存ソフトと併用します。退職者ごとに5日・10日・翌月10日・1か月以内と異なる期限を自動アラートし、書類回収から提出・控え保管までを一元管理できます。月額¥4,980/名(税込・6名以上¥2,980/名)、初期¥30,000(税込)。
補足: 本記事の「退職手続き 会社側 期限・書類 早見表」と退職者別の進捗チェックリストをダウンロードして、まずは1社ぶんの退職手続きを並べて棚卸しするところから始められます。
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