高年齢雇用継続給付の手続き|2025年改正で支給率15%→10%に|社労士の実務ガイド
お役立ち情報

高年齢雇用継続給付の手続き|2025年改正で支給率15%→10%に|社労士の実務ガイド

2026年7月25日24分で読める

この記事の結論

高年齢雇用継続給付の手続きは、60歳到達時より賃金が75%未満に下がった月について原則2か月ごとにハローワークへ支給申請する運用で、2025年(令和7年)4月1日以降に60歳へ到達する被保険者は支給率の上限が従来の最大15%から10%へ引き下げられました(出典: 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」)。改正後は賃金の低下率が64%以下の月に上限10%が支給され、64%を超え75%未満は逓減、75%以上は不支給です。

高年齢雇用継続給付は、60歳以降も働き続ける従業員の賃金低下を補う雇用保険の給付ですが、社労士事務所にとっては2か月に一度、対象者ごとに繰り返し発生する反復業務です。2025年4月の改正で支給率の上限が引き下げられ、しかも60歳到達日が改正の前か後かで支給率が変わるため、顧問先ごと・対象者ごとの管理はいっそう複雑になりました。この記事では、2025年改正の要点と支給要件、初回・2回目以降の申請手続き、そして2か月ごとの反復申請を取りこぼさない管理体制までを、社労士の実務目線で解説します。

高年齢雇用継続給付とは|2025年改正の要点を先に整理

給付の2種類と対象者

高年齢雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金(雇用保険法第61条)と高年齢再就職給付金(同法第61条の2)の2種類があります(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。前者は、基本手当(いわゆる失業給付)を受給せずに60歳以降も雇用を継続している人が対象です。後者は、基本手当を受給したうえで60歳以降に再就職した人が対象で、再就職の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あることが条件になります。いずれも雇用保険の被保険者本人に支給される給付で、会社が受け取る助成金とは性格が異なります。60歳前後は退職・再雇用と雇用保険の手続きが重なりやすく、退職・離職側の全体の流れは退職・離職に伴う社会保険・雇用保険の喪失手続き完全ガイドで確認できます。

高年齢雇用継続給付の2種類と対象者の関係図
高年齢雇用継続給付の2種類と対象者の関係図

支給要件:60歳以上65歳未満・被保険者期間5年以上・賃金75%未満

高年齢雇用継続基本給付金の主な支給要件は3つです。第一に、支給対象月に60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。第二に、被保険者であった期間が通算して5年以上あること。第三に、原則として60歳到達時と比べ、60歳以後の各月の賃金(みなし賃金を含む)が60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下していることです(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。被保険者であった期間が5年に満たない場合は、5年を満たして受給資格が発生した日以降の月が支給対象になります。

2025年4月の改正点:支給率の上限が15%から10%へ引下げ

適用境界:60歳到達日が2025年4月1日以降か3月31日以前か

2025年(令和7年)4月の改正では、高年齢雇用継続給付の支給率の上限が、従来の最大15%から10%へ引き下げられました(出典: 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」)。ポイントは、この引下げが「いつ60歳に到達したか」で線引きされることです。令和7年4月1日以降に60歳へ到達する被保険者は、新しい上限10%が適用されます。一方、令和7年3月31日以前に60歳へ到達した人は、従来どおり上限15%が継続して適用されます。同じ顧問先でも、対象者の生年月日によって適用される支給率が異なるため、対象者ごとに60歳到達日を確認し、どちらのルールが適用されるかを最初に切り分けておく必要があります。

60歳到達日による支給率の適用境界
60歳到達日による支給率の適用境界

改正前後の支給率早見表(賃金低下率別・支給限度額)

支給額は、支給対象月の賃金が60歳到達時の賃金月額に対してどこまで低下したか(低下率=支給対象月の賃金÷60歳到達時の賃金月額×100)で決まります。改正後の10%レジームでは、低下率が64%以下の月に賃金の10%が支給され、64%を超え75%未満は逓減率、75%以上は不支給です。改正前の15%レジームでは上限適用の境目が61%であり、改正後の64%とは異なる点に注意します(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。

高年齢雇用継続給付 支給率早見表(改正前後)
高年齢雇用継続給付 支給率早見表(改正前後)
60歳到達日支給率の上限上限が適用される低下率逓減する低下率不支給
2025年4月1日以降10%64%以下64%超75%未満75%以上
2025年3月31日以前15%61%以下61%超75%未満75%以上

さらに、支給には限度額があります。支給対象月の賃金が支給限度額386,922円以上のときは支給されず、算定した額が最低限度額2,411円を超えないときも支給されません(いずれも令和7年8月1日改定・出典: 厚生労働省・ハローワーク「令和7年8月1日から支給限度額が変更になります」)。また、60歳到達時等の賃金月額には上限額508,200円・下限額90,420円が設けられています。これらの限度額は毎年8月1日に改定されるため、申請時点の最新値を公式で確認します。

高年齢雇用継続給付の申請手続きと2か月ごとのスケジュール

初回の支給申請:受給資格確認と必要書類・提出期限

初回の申請では、まず受給資格を確認します。初回は「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」を用い、60歳到達時等の賃金月額を登録するための賃金の証明書類などを添えて手続きします(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。支給申請書の様式は様式第33号の3の2(雇用保険法施行規則第101条の5・第101条の7関係)です。提出者は原則として事業主で、やむを得ない場合などは被保険者本人が提出することもできます。提出先は事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)です。初回の支給申請は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から起算して4か月以内に行うこともできます。

2回目以降:2か月ごとの支給申請サイクルと支給対象月の考え方

2回目以降の支給申請は、原則として2か月に一度行います(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。管轄のハローワークから指定された支給申請月に、直前の支給対象月分をまとめて申請する運用です。次回の申請時期は「高年齢雇用継続給付次回支給申請日指定通知書」に印字されて通知されるため、指定された支給申請月の申請日までに提出します。この2か月ごとのサイクルは対象者ごとに指定月がずれるため、複数の対象者・複数の顧問先を抱えると管理が煩雑になりがちです。支給申請が遅れると当該分を受けられないおそれがあるため、対象者ごとの指定月を一覧化しておくことが取りこぼし防止の要になります。

2か月ごとの支給申請サイクル
2か月ごとの支給申請サイクル

e-Gov電子申請での提出と、給与計算・申請ソフトとの役割分担

高年齢雇用継続給付の支給申請は、電子申請にも対応しています(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。実務では、e-Govや社労夢・オフィスステーションProなどの申請ソフトで申請書を作成・送信し、給与計算ソフトで賃金データを管理する体制が一般的です。ここで抜けやすいのが、「誰が・いつ・どの支給対象月分を・いつまでに申請するか」という対象者管理と期限管理です。申請ソフトは1件ずつの申請を処理する道具であり、2か月ごとに繰り返す指定月を対象者横断で俯瞰する用途には向きません。そこで、申請そのものは既存ソフトのまま、対象者・支給率・提出状況の管理だけを別の仕組みに載せる役割分担が有効です。

社労士が2か月ごとの反復申請を取りこぼさない管理体制

対象者・支給率・提出状況を顧問先横断で一元管理する

2か月ごとの反復申請を安定して回すには、対象者の情報を一元化することが第一歩です。具体的には、対象者ごとに60歳到達日(=支給率が10%か15%かの判定基準)、賃金月額、直近の低下率、ハローワーク指定の申請月、提出済み・未提出の状態を、顧問先をまたいで一覧で管理します。特に2025年改正以降は、同じ事務所が扱う対象者の中に上限10%の人と15%の人が混在するため、支給率を対象者単位で持っておかないと支給額の説明を誤りかねません。顧問先横断の期限管理を仕組み化する考え方は社労士事務所の期限管理を仕組み化する方法でも整理しています。社労士HUBのような顧問先・案件・期限・書類の管理に特化した仕組みなら、対象者を顧問先横断で並べ、支給率や次回申請月を属性として保持できます。

顧問先横断で対象者・支給率・提出状況を一元管理
顧問先横断で対象者・支給率・提出状況を一元管理

申請月ごとの期限を自動アラートで検知しe-Gov提出につなげる

一元化した対象者情報に、指定された申請月ごとの期限アラートを重ねると、反復申請の取りこぼしが大きく減ります。次回支給申請日をもとに、申請月の前に対象者ごとのリマインドを出し、提出が済んだら状態を更新して次のサイクルに引き継ぐ、という流れです。申請そのものはe-Govや申請ソフトで行うため、社労士HUBは申請の前後にあたる「対象者の把握・支給率の管理・期限の検知・提出進捗の可視化」を担い、既存ソフトを置き換えません。

よくある質問

高年齢雇用継続給付は2025年4月からどう変わりましたか?

2025年(令和7年)4月1日以降に60歳へ到達する被保険者から、支給率の上限が15%から10%へ引き下げられました。2025年3月31日以前に60歳へ到達済みの人は、従来どおり上限15%が継続します(出典: 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」)。同じ事務所でも対象者の60歳到達日によって支給率が分かれるため、到達日での切り分けが必要です。

高年齢雇用継続給付の支給要件は何ですか?

60歳以上65歳未満の一般被保険者であること、被保険者であった期間が通算5年以上あること、原則として60歳以後の各月の賃金が60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下していることが要件です(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。被保険者であった期間が5年未満の場合は、5年を満たして受給資格が発生した日以降が支給対象になります。

高年齢雇用継続給付の申請は何か月ごとに行いますか?

2回目以降は原則として2か月に一度、管轄のハローワークから指定された支給申請月に、直前の支給対象月分をまとめて申請します(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。指定された申請月の申請日までに提出する必要があり、遅れると当該分を受けられないおそれがあります。初回は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から4か月以内に申請することもできます。

賃金がどれくらい下がると支給され、支給率はどのくらいですか?

2025年4月以降に60歳へ到達した人(上限10%)の場合、賃金の低下率(支給対象月の賃金÷60歳到達時の賃金月額×100)が64%以下の月に賃金の10%が支給され、64%を超え75%未満は逓減した率、75%以上は不支給です(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。改正前(上限15%)の上限適用の境目は61%で、改正後の64%とは異なります。支給率10%はあくまで低下率64%以下のときの上限で、実際の率は低下の程度によって変わります。

高年齢雇用継続給付はe-Govで電子申請できますか?

できます。ハローワークへの支給申請は電子申請に対応しています(出典: ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」)。実務では、申請自体はe-Govや申請ソフトで行いつつ、2か月ごとの対象者管理と申請期限は別の仕組みで一元化する運用が、反復申請の取りこぼし防止に有効です。

まとめ

高年齢雇用継続給付は、60歳到達時より賃金が75%未満に下がった月について、原則2か月ごとにハローワークへ支給申請する雇用保険の給付です。2025年(令和7年)4月の改正で支給率の上限が15%から10%へ引き下げられ、60歳到達日が2025年4月1日以降か3月31日以前かで適用される支給率が分かれます。改正後は賃金の低下率64%以下で上限10%、64%超75%未満は逓減、75%以上は不支給です。社労士にとっては、対象者ごとの60歳到達日・支給率・2か月ごとの申請期限を顧問先横断で一元管理し、申請の取りこぼしを仕組みで防ぐことが、この反復業務を安定して回す鍵になります。


2か月ごとの申請を、取りこぼさない

社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化し、e-Gov電子申請や給与計算は行わず既存ソフトと併用する前提のツールです。対象者ごとの60歳到達日・支給率・次回申請月を顧問先横断で管理できます。月額¥4,980/名(税込・6名以上¥2,980/名)、初期¥30,000(税込)。

資料請求・無料で製品体験 →

補足: まずは高年齢雇用継続給付の対象者と2か月ごとの申請期限をアラート管理する画面を無料で製品体験し、顧問先ごとの支給率の違いが一覧で見える運用を確かめてみてください。

関連記事

まずは無料で製品を体験してください

顧問先・案件・期限管理から書類回収まで、これ1つで。月額2,980円から。

関連記事