
産休・育休の社会保険料免除の手続き|申出書・期間・期限を社労士向けに解説【2026年版】
この記事の結論
産休・育休中の社会保険料免除は、産前産後休業取得者申出書・育児休業等取得者申出書を休業期間中に事業主が年金事務所(事務センター)へ提出して申し出ると、健康保険料・厚生年金保険料が被保険者本人分・事業主分ともに免除される手続きです。免除期間は休業開始月から終了日の翌日が属する月の前月までで、終了日が月末なら終了月も免除に含まれます(月末ルール)。育児休業は令和4年10月改正で、同一月内14日以上取得した月も対象に加わりました。
産休・育休の社会保険料免除は、申出のタイミングを逃したり育休延長時の再申出を忘れたりすると、本来免除される保険料が控除されたままになり是正に手間がかかります。顧問先が複数あれば、従業員ごとに休業開始日・終了予定日から免除期間を判定し、賞与や復帰後の月額変更まで追う必要があります。この記事では、免除される保険料の範囲・月末ルール・申出書の種類とタイミング・復帰時の月額変更までを社労士目線で解説します。
産休・育休中の社会保険料免除とは|免除される保険料と申出書の全体像
免除される保険料の範囲(健保・厚年とも本人・事業主分を免除)
産前産後休業・育児休業等の期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。免除は本人分・事業主分の両方が対象で、事業主が申し出ることで両方が免除されます(出典: 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」)。免除期間も被保険者資格は継続し、将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます。申出書は事業主が日本年金機構(事務センターまたは年金事務所)へ提出します。健康保険組合の加入者は届出先が組合の規程で異なる場合があるため加入先で確認します。まずは全体像を早見表で確認します。

| 項目 | 産前産後休業 | 育児休業等 |
|---|---|---|
| 申出書 | 産前産後休業取得者申出書 | 育児休業等取得者申出書 |
| 免除保険料 | 健保・厚年(本人・事業主とも) | 同左 |
| 免除期間 | 開始日の属する月〜終了日の翌日が属する月の前月(月末終了は終了月も) | 同左 |
| 提出先 | 日本年金機構(事務センター/年金事務所) | 同左 |
出所: 日本年金機構の公表資料(産前産後・育児休業期間の保険料免除)をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理
産前産後休業と育児休業で申出書が分かれる点
免除の申出書は休業の種類ごとに分かれ、産前産後休業は産前産後休業取得者申出書、育児休業等は育児休業等取得者申出書を使います。産前産後休業とは、出産の日(出産日が予定日後のときは予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の日後56日までの間で、妊娠または出産を理由に労務に従事しなかった期間です(出典: 日本年金機構「従業員が産前産後休業を取得したときの手続き」)。産休に続けて育休へ入る場合でも産休の免除が自動で育休へ切り替わるわけではなく、育児休業等取得者申出書をあらためて提出します。この出し分けと切り替えが取りこぼしの生まれやすい最初のポイントです。産休・育休の全体の流れは産休・育休 手続きの流れと期限の全体像で確認できます。
免除期間と月末ルール|開始月・終了月の考え方
免除の開始月・終了月の判定(終了日の翌日が属する月の前月まで)
免除される期間は、休業を開始した日の属する月から、休業を終了する日の翌日が属する月の前月までです(出典: 日本年金機構)。まちがえやすいのが月末の扱いです。終了日が月の末日なら翌日は翌月1日となり、翌日が属する月の前月がちょうど終了月にあたるため、終了月も免除に含まれます(月末ルール)。終了日が7月31日なら翌日は8月1日で7月分まで免除、7月30日なら翌日は7月31日で6月分までの免除となり7月分は保険料がかかります。復帰日を月末にするか翌月1日にするかで1か月分の負担が変わります。

2022年10月改正の同月内14日以上要件(育児休業)
育児休業の保険料免除には、令和4年(2022年)10月1日以降に開始した育児休業等から新しい要件が加わりました。従来は各月の末日に育休を取得しているかで当月の免除を判定していましたが、改正後は、開始日が属する月と終了日の翌日が属する月が同一の月でも、その月に14日以上取得していれば当月が免除の対象になります(出典: 日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」)。短期の育休でも月内14日以上なら免除され、13日以下で同月内に完結する育休は免除されません。14日以上を数える際の就業日の控除など細部は公表資料で確認します。産前産後休業にこの14日要件はなく、育休固有です。

賞与に係る保険料の免除要件(連続1か月超)
毎月の給与だけでなく賞与にかかる保険料も免除の対象ですが、賞与には別の要件があります。令和4年10月1日以降に開始した育児休業等については、賞与月の末日を含んだ連続した育児休業等が1か月を超える場合に限り、その賞与にかかる保険料が免除されます(出典: 日本年金機構)。給与分(同月内14日以上でも可)と賞与分(連続1か月超が必要)で条件が異なる点が実務のわかりにくさです。1か月超の起算日・応当日など暦の細部は公表資料で確認します。
申出のタイミングと期限・育休延長時の再申出
産前産後休業取得者申出書の提出タイミング
産前産後休業取得者申出書は、産前産後休業をしている間、または産前産後休業終了後の終了日から起算して1か月以内の期間中に提出しなければなりません(出典: 日本年金機構)。原則は休業期間中の申出ですが、終了後1か月以内でも受け付けられるため、産後の手続きが立て込む場合でも一定の猶予があります。ただし免除を確実に受けるには休業へ入った段階で早めに提出するのが安全です。出産予定日と実際の出産日にずれが出ると期間も変わるため、出産後に予定日と実績を照合して必要に応じ期間変更を届け出ます。

育児休業等取得者申出書の提出タイミング
育児休業に入る従業員については、育児休業等取得者申出書を提出して免除を申し出ます。提出は原則として育児休業の期間中に行います。産休から続けて育休へ入る場合でも、産休の申出書とは別に育休の申出書が必要で、産休分の申出だけでは育休期間の免除は始まりません。免除の開始は育児休業を開始した日の属する月からですが、提出が滞ると給与計算上は保険料を控除したままになり、あとから還付・調整の手間が生じます。開始が決まった時点で申出書を準備し、すみやかに提出するのが安全です。
育休延長(1歳6か月・2歳)時の再申出と期間変更
育児休業は、保育所等に入所できないなどの理由で1歳6か月、さらに2歳まで延長できますが、延長すると当初の申出だけでは延長期間の免除がカバーされません。延長の際は、育児休業等取得者申出書の延長(期間変更)の区分であらためて申し出て、免除期間を実際の終了予定日まで延ばします(出典: 日本年金機構)。延長のたびに再申出が必要なため、1歳・1歳6か月・2歳の節目ごとに再申出の要否と期限を管理することが取りこぼし防止の鍵です。顧問先ごとの期限管理は社労士の期限管理の実務が参考になります。
復帰時の月額変更(月変連動)と期限・書類の管理術
育児休業等終了時報酬月額変更と養育期間標準報酬月額特例
育休から復帰し、時短勤務などで給与が下がったときに使えるのが育児休業等終了時報酬月額変更届です。3歳未満の子を養育する被保険者が対象で、通常の随時改定が2等級以上の差を要するのに対し、従前と改定後の標準報酬月額に1等級以上の差が生じ、育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月のうち少なくとも1か月の支払基礎日数が17日(特定適用事業所の短時間労働者は11日)以上あれば、その3か月の報酬の平均額をもとに4か月目の標準報酬月額から改定できます(出典: 日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届の提出」)。あわせて厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書も検討します。養育期間中に標準報酬月額が下がっても、養育開始月の前月の従前標準報酬月額を年金額計算の基礎とみなす措置で、適用期間は養育開始月から子の3歳の誕生日がある月の前月までです(出典: 日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」)。月変で保険料を下げつつ特例で年金額を従前水準に保つのが復帰時のポイントです。

免除・再申出・月変の期限を仕組みで取りこぼさない
産休・育休の社会保険料まわりは、免除の申出・育休延長時の再申出・復帰時の月額変更と、性質の異なる期限が従業員ごとに発生します。起算日は出産予定日・育休開始日・復帰日などバラバラで、顧問先が増えるほどExcel台帳では追い切れません。申出書の作成や電子申請はe-Govや既存の申請ソフトで行い、社労士HUBは、いつ誰のどの申出が必要かを休業日程から逆算して管理する役割で併用します。
社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化したクラウドで、e-Gov電子申請や給与計算は行いません。従業員ごとの休業日程から免除・再申出・月変の期限を自動でリマインドし、書類の回収状況も可視化できます。申請ソフトを乗り換えず、期限の取りこぼしだけを仕組みで減らせます。
よくある質問
産休・育休中の社会保険料は本人負担分も免除されますか?
健康保険料・厚生年金保険料とも、被保険者本人の負担分と事業主の負担分の両方が免除されます(出典: 日本年金機構)。免除期間中も被保険者資格は継続し、年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます。
育休の社会保険料免除はいつからいつまでですか?
育児休業を開始した日の属する月から、終了する日の翌日が属する月の前月までが免除対象です(出典: 日本年金機構)。終了日が月末なら翌日が翌月1日となるため、終了月も免除に含まれます(月末ルール)。
2022年10月の改正で育休の保険料免除はどう変わりましたか?
令和4年(2022年)10月1日以降に開始した育児休業等から、開始月と終了日の翌日が属する月が同一でも、同一月内に14日以上取得した月は免除対象になりました(出典: 日本年金機構)。賞与の保険料は、賞与月の末日を含む連続した育児休業等が1か月を超える場合に限り免除されます。
育休を延長したら社会保険料免除の手続きはやり直しになりますか?
1歳6か月・2歳などへ延長する際は、育児休業等取得者申出書の延長(期間変更)の区分であらためて申し出ます(出典: 日本年金機構)。当初の申出だけでは延長期間の免除はカバーされないため、延長の節目ごとに再申出と期限管理が必要です。
育休から復帰して給与が下がった場合、社会保険料はどうなりますか?
3歳未満の子を養育する被保険者は、育児休業等終了時報酬月額変更届により、通常の随時改定より緩い1等級以上の差で標準報酬月額を改定できます(出典: 日本年金機構)。あわせて養育期間標準報酬月額特例を申し出ると、子が3歳になるまで従前の標準報酬月額で年金額が計算されます。
まとめ
産休・育休中の社会保険料免除は、産前産後休業取得者申出書・育児休業等取得者申出書を休業期間中に日本年金機構へ提出することで、健康保険料・厚生年金保険料が本人・事業主とも免除される手続きです。免除期間は休業開始月から終了日の翌日が属する月の前月まで(月末終了は終了月も)で、育児休業は令和4年10月改正で同一月内14日以上の月も対象になりました。免除の申出・延長時の再申出・復帰時の月変という性質の異なる期限を、従業員ごとに取りこぼさない管理体制が社労士事務所の実務の鍵になります。
免除・再申出・月変の期限を落とさない
社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化し、e-Gov電子申請や給与計算は行わず既存の申請ソフトと併用します。従業員ごとの休業日程から免除・再申出・月変の期限を自動で通知します。月額¥4,980/名(税込・6名以上¥2,980/名)、初期¥30,000(税込)。
補足: 「産前産後・育児休業 社会保険料免除 早見表」で、月末ルールと申出の期限を1枚で確認できます。
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