
労働者死傷病報告の書き方と提出期限|死亡・休業4日以上/4日未満の使い分けと電子申請義務化【2026年版】
この記事の結論 労働者死傷病報告は、死亡または休業4日以上なら発生後に遅滞なく、休業1〜3日なら四半期ごと(各期間の最後の月の翌月末日まで)に所轄の労働基準監督署長へ提出し、2025年(令和7年)1月からはe-Govを使った電子申請が原則義務化されています(電子申請が困難な場合は当分の間、書面報告も可)。
労働災害が起きたとき、多くの事業者が戸惑うのが「いつ・どの手続きで・どこに出すのか」です。休業日数によって提出期限が「遅滞なく」と「四半期ごと」に分かれるうえ、2025年1月からは電子申請の義務化も加わりました。この記事では、社労士が顧問先の労働者死傷病報告を漏れなく処理できるよう、対象となる労災の範囲・提出期限・書き方・電子申請・期限管理を実務目線で解説します。
労働者死傷病報告とは|提出が必要な労働災害と提出先
労働者死傷病報告の定義と対象になる労働災害の範囲
労働者死傷病報告とは、労働者が労働災害などにより死亡または休業したときに、事業者が所轄の労働基準監督署長へ提出する報告です。根拠は労働安全衛生法第100条(報告等)と労働安全衛生規則第97条(労働者死傷病報告)で、事業場の規模や業種を問わず原則すべての事業者に義務があります。対象は、就業中や事業場内などでの負傷・窒息・急性中毒により死亡し、または休業した場合で、休業を伴わない軽微な負傷などは対象外です(出典: 厚生労働省 労働安全衛生法第100条・労働安全衛生規則第97条)。
誰が・いつ・どこに提出するのか(事業者→労働基準監督署)
提出義務を負うのは事業者で、被災した労働者本人ではありません。派遣労働者が被災した場合は、派遣元・派遣先の双方に報告義務が生じることがあります。提出先は労働災害が発生した事業場を所轄する労働基準監督署長で、提出のタイミングは休業日数によって異なります。死亡・休業4日以上は都度遅滞なく、休業1〜3日は四半期ごとにまとめて報告するのが基本です(出典: 厚生労働省)。
死亡・休業4日以上と休業4日未満で分かれる2つの報告と提出期限【早見表】
労働者死傷病報告は、被災労働者の休業日数によって2つに分かれます。どちらも所轄の労働基準監督署長へ提出しますが、提出のタイミングと使う手続きが異なります。まず全体像を早見表で確認しましょう。

| 報告の区分 | 対象となる労働災害 | 提出期限 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 死亡・休業4日以上 | 死亡、または休業(見込み含む)が4日以上 | 発生後に遅滞なく | 所轄の労働基準監督署長 |
| 休業4日未満(1〜3日) | 休業日数が1〜3日の労働災害 | 四半期ごとにまとめて(各期間の最後の月の翌月末日まで) | 所轄の労働基準監督署長 |
出所: 労働安全衛生法第100条・労働安全衛生規則第97条第1項・第2項をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。
なお令和7年(2025年)1月1日の改正前(令和6年12月まで)は、死亡・休業4日以上を「様式第23号」、休業4日未満を「様式第24号」と呼んでいました。改正後は様式番号ではなく「労働者死傷病報告(死亡及び休業4日以上)」「労働者死傷病報告(休業4日未満)」という手続き名称で扱われ、従前の様式第23号・第24号は使用しないとされています(出典: 厚生労働省 労働者死傷病報告の電子申請案内)。
死亡・休業4日以上は発生後「遅滞なく」提出する
労働者が死亡した場合、または休業が4日以上(見込みを含む)に及ぶ場合は、発生後に遅滞なく報告します。「遅滞なく」に具体的な日数の定めはありませんが、正当な理由なく遅れることは許されません。この区分は1件ごとに個別報告し、休業見込みが当初3日でも後に4日以上へ延びたときは、判明した時点でこの区分へ切り替えます(出典: 改正労働安全衛生規則第97条第1項)。
休業1〜3日(4日未満)は四半期ごとにまとめて提出する
休業日数が1〜3日の労働災害は、四半期ごとにまとめて報告します。1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の各期間に発生した労災を、その期間の最後の月の翌月末日までに報告します。たとえば4月4日発生・休業2日の労災は、4〜6月分として7月31日までに報告すればよい、というのが厚生労働省の示す例です。軽微でも報告義務は免除されません(出典: 改正労働安全衛生規則第97条第2項)。
提出期限早見表:労災発生日から逆算するスケジュール
休業4日未満の四半期報告は、発生時期ごとに締切が決まっています。次のカレンダーで、労災発生日から提出期限を逆算できます。

| 労災の発生時期(休業1〜3日) | 提出期限 |
|---|---|
| 1〜3月に発生 | 4月30日まで |
| 4〜6月に発生 | 7月31日まで |
| 7〜9月に発生 | 10月31日まで |
| 10〜12月に発生 | 翌年1月31日まで |
出所: 改正労働安全衛生規則第97条第2項をもとに社労士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)が整理。締切は年4回訪れるため、期末が近づくたびに未提出の軽微災害がないかを点検します。
労働者死傷病報告の書き方と記入のポイント
おもな記入項目と2025年改正で変わった記載事項

おもな記入内容は、事業場の名称・所在地・事業の種類、被災労働者の氏名・性別・年齢・職種、傷病名や傷病の部位、休業した(見込みの)日数、災害発生状況です。令和7年1月の改正では報告事項が見直され、記載方法が変わっています。改正後の具体的な入力欄やコードの選び方は、厚生労働省の帳票入力支援サービスの最新画面と記載要領で確認してください(出典: 厚生労働省 労働者死傷病報告の報告事項改正)。
差し戻されない「災害発生状況」の書き方
記入で最もつまずきやすいのが「災害発生状況」です。いつ・どこで・どのような作業中に・何が原因で・どうなったのかを、第三者が情景を再現できる程度に具体的に書くのがポイントで、「不注意で転倒」などの抽象的な記述は差し戻しの原因になります。扱っていた機械・設備・物質や、不安全な状態・行動まで書き切ると、監督署からの照会を減らせます。現場のヒアリング内容をそのまま転記できるよう、回収段階で聞き取り項目をそろえておくと効率的です。
電子申請義務化(2025年1月〜)とe-Govでの提出フロー
2025年1月からの改正ポイントと書面報告の経過措置

2025年(令和7年)1月1日から、労働者死傷病報告は報告事項が改正されるとともに、e-Govを使用した電子申請が義務化されました。これにより原則として電子での報告が求められます。ただし完全に電子のみではなく、パソコン端末を所持していないなど電子申請が困難な事情がある場合は、当分の間、書面による報告も認められています(改正労働安全衛生規則 附則)。顧問先の環境に応じて、電子と書面のどちらで進めるかを最初に確認しておきます(出典: 厚生労働省 電子申請義務化案内)。
e-Govで提出する手順と事前に準備するもの
電子申請では、GビズIDまたは電子証明書などの認証手段を準備し、e-Govの申請画面から報告データを作成・送信します。厚生労働省は入力を補助する帳票入力支援サービスを案内しており、画面の案内に沿って入力する流れが基本です。具体的な入力欄名や添付データの形式は改定されることがあるため、提出前に最新の記載要領を確認します。社労士が提出代行する場合の認証やGビズIDの準備は、社労士のe-Gov電子申請のやり方で確認できます(出典: e-Gov電子申請、厚生労働省 帳票入力支援サービス)。
提出漏れ・労災かくしを防ぐ期限管理と顧問先への状況報告
「遅滞なく」と「四半期末」の複数期限を逆算で管理する
労働者死傷病報告の難しさは、「遅滞なく」と「四半期末」という性質の異なる期限が同時に走る点にあります。死亡・休業4日以上は都度すぐに、休業1〜3日は四半期分をまとめて、と処理のリズムが違うため、複数の顧問先を抱える事務所ほど管理が煩雑になります。提出を故意に怠ったり虚偽の内容で報告したりする行為はいわゆる労災かくしにあたり、労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金の対象となり、送検される事例もあります(出典: 厚生労働省「労災かくしは犯罪です」)。
社労士HUBで労災発生日から提出期限を自動アラートする

社労士HUBは、顧問先・案件・期限・書類の管理に特化したクラウドサービスです。労災の発生日を登録すれば、休業日数の区分に応じて「遅滞なく」対応が必要な案件と、四半期末が締切の案件を自動で振り分け、提出状況の報告までを一元管理できます。
社労士HUBなら、労災発生日から報告区分別の提出期限を自動でリマインドし、書類の回収状況までまとめて可視化できます。電子申請そのものはe-Govで行い、その前後の期限・進捗管理を社労士HUBが担う設計です。無料で製品体験できます。
電子申請義務化の全体像は社会保険手続きの電子申請義務化と対象手続きで、事務所全体の期限管理の考え方は社労士事務所の期限管理の仕組みで確認できます。社労士HUBはe-Gov電子申請や給与計算そのものは行わず、既存ソフトと併用して申請の前後の管理を担う位置づけです。
よくある質問
労働者死傷病報告はいつまでに提出すればいいですか?
死亡または休業4日以上(見込みを含む)の労働災害は、発生後に遅滞なく所轄の労働基準監督署長へ報告します。休業が1〜3日(4日未満)の場合は四半期ごとにまとめ、1〜3月分は4月30日、4〜6月分は7月31日、7〜9月分は10月31日、10〜12月分は翌年1月31日までに報告します(出典: 厚生労働省、改正労働安全衛生規則第97条第1項・第2項)。
「死亡・休業4日以上」と「休業4日未満」で報告はどう違いますか?
休業日数が4日以上(または死亡)の重大な災害は都度「遅滞なく」報告し、休業1〜3日の軽微な災害は四半期分をまとめて報告します。休業日数で提出のタイミングと使う手続きが分かれます。なお令和7年1月1日の改正後は、従前の様式第23号・第24号ではなく「労働者死傷病報告(死亡及び休業4日以上)」「労働者死傷病報告(休業4日未満)」という手続き名称で取り扱われます(出典: 厚生労働省 労働者死傷病報告の電子申請案内)。
休業4日未満(1〜3日)の労災も報告が必要ですか?
必要です。休業1〜3日の労働災害も四半期ごとにまとめて報告する義務があります。報告が不要となるのは、労働安全衛生規則第97条の労働災害等(就業中などの負傷・窒息・急性中毒により死亡し、または休業した場合)に当たらないとき、たとえば休業を伴わない負傷などに限られます(出典: 厚生労働省 提出要否フロー)。
労働者死傷病報告は電子申請が義務ですか?
令和7年(2025年)1月1日から、e-Govを使用した電子申請が義務化され、あわせて報告事項も改正されました。ただし、パソコン端末を所持していないなど電子申請が困難な場合は、当分の間、書面による報告も認められています(改正労働安全衛生規則 附則)。「例外なく電子のみ」ではない点に注意します(出典: 厚生労働省 労働者死傷病報告の電子申請義務化案内)。
労働者死傷病報告を提出しないとどうなりますか?
労働者死傷病報告を故意に提出しない、または虚偽の内容で提出する行為はいわゆる労災かくしにあたり、労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金の対象となります。送検される事例もあり、労災かくしは犯罪と位置づけられています(出典: 厚生労働省「労災かくしは犯罪です」、労働安全衛生法第120条)。
まとめ
労働者死傷病報告は、死亡・休業4日以上なら発生後に遅滞なく、休業1〜3日なら四半期ごと(1〜3月分は4月末、4〜6月分は7月末、7〜9月分は10月末、10〜12月分は翌1月末)に、所轄の労働基準監督署長へ提出します。2025年1月からはe-Govでの電子申請が原則義務化され報告事項も改正されましたが、電子申請が困難な場合は当分の間、書面報告も認められます。
従前の様式第23号・第24号という番号ではなく手続き名称で取り扱う点も押さえましょう。提出を怠れば労災かくしとして50万円以下の罰金の対象になります。性質の異なる複数の期限を、労災発生日から逆算して漏れなく管理する仕組みづくりが、顧問先を守る社労士の実務のポイントです。
労災報告の提出漏れを、逆算で防ぐ
社労士HUBは顧問先・案件・期限・書類の管理に特化したクラウドサービスです。e-Gov電子申請や給与計算そのものは行わず、既存の申請ソフト・給与計算ソフトと併用して、労災発生日からの期限逆算・書類回収・提出状況の管理を担います。月額¥4,980/名(税込・6名以上¥2,980/名)、初期¥30,000(税込)。
補足: 労災発生日から報告区分別(死亡・休業4日以上/休業4日未満)の提出期限を逆算し、記入漏れ・差し戻し防止のチェック項目をまとめた「労働者死傷病報告 提出期限早見表&記入チェックリスト」を無料でダウンロードできます。
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