
社労士の事件簿とは|法19条の記載事項・2年保存と実務管理
開業社労士の事件簿には、事件の名称、依頼日、報酬、依頼者、事件概要を記録し、関係書類とともに帳簿閉鎖時から2年間保存します。日々の案件一覧を作るだけではなく、法定5項目と関係書類を同じ事件へ結び付け、帳簿をいつ閉鎖したかまで追える状態が必要です。受付日と完了日、帳簿閉鎖日を混同しないことが、保存期限を説明できる記録の出発点になります。
この記事では、根拠条文、記載事項の早見表、受任から保存までの手順を順に整理します。さらに、普段の案件台帳を事件簿へつなげる項目設計を示すため、法定5項目と社労士HUBの実装項目を対応づけます。法令が定める事項と、事務所が品質管理のために追加する証跡を分けて確認してください。
社労士の事件簿とは|法定記載事項の早見表
社会保険労務士法第19条が求める事件簿の定義
社会保険労務士法第19条は、開業社会保険労務士に対し、業務に関する帳簿を備えて所定事項を記載するよう求めています。同条で示されるのは、事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所および氏名または名称です。社会保険労務士法施行規則第15条により、その他の事項として事件の概要が加わります。
したがって、本記事でいう事件簿は、開業社会保険労務士が業務について備える法定の帳簿です。行政書士の事件簿(行政書士法)とは根拠法・記載事項・保存期間が別で、本記事は社会保険労務士法第19条に基づく開業社会保険労務士の帳簿を扱います。顧問先企業が労働基準法に基づいて備える労働者名簿、賃金台帳、出勤簿とも、作成主体と目的が異なります。

事件名・依頼日・報酬・依頼者・事件概要の対応表
法定5項目は、検索できる具体性を持たせると案件記録としても機能します。たとえば事件名を「手続」とだけ記すより、顧問先と業務を識別できる名称にすれば、関係書類を結び付けやすくなります。ただし、下表の確認証跡は事務所運用の例であり、法定項目そのものを増やすものではありません。
| 法定記載事項 | 案件台帳の対応項目 | 確認証跡の例 |
|---|---|---|
| 事件の名称 | 顧問先名、業務区分、案件名 | 受任記録、案件番号 |
| 依頼を受けた年月日 | 依頼受付日 | 受付メール、面談記録 |
| 受けた報酬の額 | 当該事件の報酬額 | 見積書、請求・入金の記録 |
| 依頼者の住所および氏名・名称 | 顧問先の正式名称、所在地 | 契約情報、顧問先台帳 |
| 事件の概要 | 依頼内容、対象者、処理結果 | 対応履歴、完了報告 |
依頼日は行政機関への提出日や案件完了日ではなく、依頼を受けた年月日として記録します。報酬は事件ごとの受領額を追えるようにし、依頼者は略称だけでなく住所と氏名または名称まで保持します。事件概要には依頼内容と処理結果を簡潔に残し、詳細な届書や連絡記録は関係書類として同じ案件番号からたどれるようにすると、5項目の意味が曖昧になりません。

受任から帳簿閉鎖・保存までの記録手順
受任時に事件を登録し、変更・完了の証跡を残す
受任時は、依頼を受けた年月日を起点に事件を登録し、事件名、依頼者、概要を先にひも付けます。報酬が後で確定する案件は項目を空欄のまま放置せず、確定・受領時に更新する担当と確認時点を決めます。名称変更、依頼範囲の追加、担当交代があった場合も、元の値を消すだけでなく変更日と理由を対応履歴へ残す運用が有効です。
| 段階 | 登録・確認する内容 | 完了条件の例 |
|---|---|---|
| 依頼受付 | 依頼日、依頼者、事件名、概要 | 必須項目の初回確認 |
| 業務進行 | 回収書類、担当者、期限、変更履歴 | 未回収と未処理の解消 |
| 事件完了 | 処理結果、報酬、完了報告 | 完了証跡の登録 |
| 帳簿閉鎖 | 閉鎖日、保存対象、保存期限 | 関係書類との対応確認 |
受付条件と完了条件を事務所共通にする考え方は、社労士事務所の業務標準化にもつながります。案件が今どこにあり、誰の確認を待っているかは、社労士の案件進捗管理のステータスで可視化できます。事件簿のためだけに後日情報を集め直すのではなく、通常業務で生じた記録をその都度確定する方が、転記漏れを抑えやすくなります。

帳簿閉鎖時を確定し、関係書類と2年間保存する
保存期間の起算点は事件の完了日や報酬の入金日ではなく、社会保険労務士法第19条第2項が定める帳簿閉鎖の時です。事務所では、帳簿をどの単位で閉鎖するか、誰が閉鎖を承認するか、閉鎖日をどこへ記録するかをあらかじめ決めます。個別案件の完了日と帳簿閉鎖日を別項目にすれば、2年間の満了日を後から再計算できます。
関係書類は、届書、依頼者から受け取った賃金台帳や出勤簿、連絡記録、処理結果など、事件との関係を説明する資料を案件番号で結び付けます。第19条第2項は、開業社会保険労務士でなくなった後も同じ保存義務が続くと定めているため、廃業や承継の際にも所在と閲覧権限が途切れない引継ぎが必要です。2年を経過しただけで一律に処分せず、別の法令や契約上の保管条件がある資料は、その条件も分けて確認します。

事件簿と案件台帳を二重管理にしない事務所運用
顧問先・案件・対応履歴・監査ログを対応づける
次の表は、社会保険労務士法と施行規則の法定5項目を、社労士HUBで実装している顧問先台帳、案件管理、対応履歴、監査ログ、カスタム項目へ対応づけた運用設計です。YDAIコンサルティング株式会社が製品の実装項目を基に整理したもので、統計や顧客実績を示す表ではありません。法定項目と製品項目を同一視せず、事件簿として出力・固定する項目を事務所内で明確にします。
| 法定5項目 | 社労士HUBの実装項目への割当て | 運用上の確認 |
|---|---|---|
| 事件の名称 | 案件管理の案件名・手続種別 | 顧問先と業務を一意に識別する |
| 依頼を受けた年月日 | 案件のカスタム項目「依頼日」 | 受付証跡と日付を照合する |
| 受けた報酬の額 | 案件のカスタム項目「報酬額」 | 請求記録と受領額を照合する |
| 依頼者の住所および氏名・名称 | 顧問先台帳の基本情報 | 正式名称と所在地の変更を追う |
| 事件の概要 | 案件情報・対応履歴 | 依頼内容から処理結果まで残す |
関連書類は書類回収ワークフローから案件へ結び付け、更新の経緯は対応履歴と監査ログで確認します。事件番号を共通キーにすれば、日常の案件管理を続けながら、閉鎖時に法定5項目と関係書類の対応を点検できます。申請ソフトはそのまま使い、事件簿に必要な管理と証跡を社労士HUB側でそろえる併用設計です。
事件簿用の別表へ転記する前に、普段の顧問先台帳と案件項目で法定5項目がそろうかを画面で確認できます。自事務所の項目構成を見ながら、社労士HUBを無料で製品体験してください。

社労士の事件簿でよくある質問
事件簿には最低限何を記載しますか。
最低限の記載事項は、事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所および氏名または名称、事件の概要の5項目です。前の4項目は社会保険労務士法第19条第1項、事件の概要は同法施行規則第15条が根拠です。案件番号、担当者、期限、完了日、帳簿閉鎖日は法定5項目そのものではありませんが、関係書類の追跡や保存期間の管理に役立つ補助項目として分けて持つと確認しやすくなります。依頼者は略称だけで登録せず、住所と正式な氏名または名称まで原資料と照合します。
事件簿はいつから2年間保存しますか。
2年間の起算点は、個々の依頼日、提出日、完了日ではなく、帳簿を閉鎖した時です。事件簿は関係書類とともに保存し、開業社会保険労務士でなくなった後も同じ取扱いが求められます。閉鎖日が記録されていないと満了日を説明できないため、帳簿の閉鎖単位、承認者、閉鎖日、保存満了日を一組で管理します。
案件完了日を起点に自動計算せず、実際の帳簿閉鎖日を確認して保存予定を設定してください。ほかの法令や契約でより長い保管が必要な書類は、事件簿の保存期間と分けて管理します。
事件簿を電子的に管理するときは何を確認しますか。
社会保険労務士法第19条と同法施行規則第15条は、法定記載事項と保存期間を定めていますが、特定の電子管理製品や画面仕様までは定めていません。電子的に管理する場合は、法定5項目の欠落がないこと、閉鎖後の記録を保持できること、関係書類を事件単位で検索できること、変更履歴と閲覧権限を確認できることを運用要件にします。具体的な保存方法は、所属会などの現行案内も確認したうえで事務所の規程に落とし込みます。
行政書士の事件簿とは何が違いますか。
行政書士の事件簿とは、根拠法、記載事項、保存期間が別です。この記事が対象とするのは、社会保険労務士法第19条と同法施行規則第15条に基づき、開業社会保険労務士が業務について備える帳簿です。名称が同じ「事件簿」でも制度を横断して項目や保存年数を流用せず、それぞれの根拠法令で確認します。
複数資格の業務を扱う事務所でも、一つの共通様式へ無条件にまとめず、資格ごとの根拠、必須項目、閉鎖日、保存満了日を識別できる設計にします。関係書類も担当資格と事件単位で結び付けると、どの帳簿の証跡かを確認できます。
普段の案件台帳を事件簿として兼用できますか。
社会保険労務士法第19条と同法施行規則第15条は、特定の台帳様式や製品名ではなく、記載すべき5項目と保存について定めています。兼用を検討する場合は、法定5項目が欠けず、帳簿閉鎖日を確定でき、閉鎖後2年間の記録と関係書類を事件単位で追跡できるかを確認します。日常の案件台帳を正本として運用するのか、閉鎖時に事件簿を出力して固定するのかも決め、どちらが正式な帳簿か曖昧にしないことが重要です。
まとめ|事件簿を案件の完了証跡として残す
社労士の事件簿は、法定5項目を記録し、関係書類とともに帳簿閉鎖時から2年間保存する帳簿です。依頼受付、案件進行、完了、帳簿閉鎖を一つの事件番号でつなぎ、閉鎖日と保存満了日を明示すれば、案件台帳との二重入力を避けながら必要事項を確認できます。法定項目、事務所独自の管理項目、関係書類の3つを分けたうえで、担当者が変わっても同じ手順で閉鎖できる状態を整えましょう。
関連記事
事件簿に必要な項目を顧問先、案件、対応履歴へどう割り当てるか、社労士HUBの画面で無料で製品体験できます。自事務所の運用に合わせた項目設計を確認したい方は、無料相談をご利用ください。
まずは無料で製品を体験してください
顧問先・案件・期限管理から書類回収まで、これ1つで。
月額2,980円〜/名(6名以上・税込)。


