
社労士の顧問料改定・値上げの進め方|説明から契約変更まで
この記事の結論
顧問料改定は、現行料金と業務範囲、新料金と適用時期を顧問先別に整理し、通知、説明、合意確認、契約・請求反映を別工程として記録して進めます。
既存顧問先の顧問料を改定するときは、金額だけを差し替えるのではなく、現在の業務範囲、契約の変更条件、説明理由、適用時期を一緒に確認します。通知を送った状態、質問へ回答している状態、合意条件を確認した状態、請求へ反映した状態は同じではありません。
本記事は、相場額や一律の値上げ率を示すものではなく、顧問先別に改定案を準備し、説明から契約・請求反映までを管理する方法を扱います。顧問料の実額、固定の通知月数、成功率、顧客事例は置かず、現行契約と個別の合意内容を出発点にします。
顧問料改定を進める基本

顧問料改定の目的は、値上げ通知を一斉に送ることではありません。現行条件と改定後の条件を顧問先ごとに照合し、説明した内容、回答、合意、契約と請求への反映を後から確認できる状態にすることです。
相場確認と既存契約の改定を分ける
本記事でいう顧問料改定とは、既存顧問先との現行料金と業務範囲を確認し、改定案を説明して、合意した条件を契約と請求へ反映する一連の運用です。新規契約の料金表を作る作業や、相場を調べる作業とは分けて扱います。
顧問料の相場と料金設定は、料金体系を検討する参考になります。ただし、相場情報だけで既存契約を変更できるわけではなく、顧問先ごとの契約内容、依頼範囲、これまでの対応、変更方法を確認する必要があります。
| 比較する観点 | 相場・新規料金の検討 | 既存契約の改定 |
|---|---|---|
| 出発点 | 提供するサービスと料金体系 | 現行料金、現行範囲、契約条件 |
| 主な確認 | 料金区分、含める業務、追加対応 | 実際の対応、範囲差異、変更条項 |
| 相手方との工程 | 提案前の設計 | 通知、説明、質問対応、合意確認 |
| 完了の確認 | 料金表や提案条件の確定 | 契約変更と請求反映の確認 |
通知から契約・請求反映まで工程を分ける
改定は、現状整理、改定案の内部確認、通知、説明、質問対応、合意確認、契約変更、請求反映を別工程として扱います。前の工程が終わったように見えても、顧問先側の条件確認や事務所側の反映が残っていれば完了にはしません。
| 工程 | 確認する内容 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 現状整理 | 現行料金、業務範囲、契約条項 | 確認資料、確認者、差異 |
| 改定案 | 改定料金、説明理由、適用時期 | 作成者、内部確認、案の状態 |
| 通知・説明 | 相手方、方法、説明内容 | 通知日、質問、回答 |
| 合意確認 | 合意した料金、範囲、適用時期 | 確認方法、確認者、条件差異 |
| 契約・請求反映 | 契約変更、請求内容、開始状態 | 反映担当、確認日、未反映事項 |
社労士事務所の業務標準化と同じように、工程ごとの開始条件、担当、完了条件、例外を決めます。通知済みを合意済みに置き換えず、各工程を閉じるための証跡を事務所内でそろえてください。
顧問先別に改定案を作る

改定案は、全顧問先へ同じ理由と条件を当てはめず、現行契約と実際の対応を顧問先別に確認して作ります。金額を決める前に、何を現在の顧問料に含め、何を個別対応としてきたかをそろえることが重要です。
現行料金・業務範囲・対応工数を整理する
現行料金は、契約書、過去の見積、請求内容など確認元とともに記録します。業務範囲は、定例対応、手続、相談、資料作成、追加依頼、緊急対応など、契約上の記載と実際の対応を分けて整理してください。
対応工数は、単に合計時間を作るためではなく、どの業務に負荷や例外が集中しているかを説明できるようにする材料です。集計方法や対象期間がそろっていない数値を顧問先間で比較せず、確認できる対応履歴と範囲差異を優先します。
担当者だけが知る追加対応がある場合は、依頼の経緯、対応内容、現在の扱いを確認します。契約に含まれるのか、別条件で扱うのかを内部で整理してから、改定案の前提へ反映します。
改定料金・説明理由・適用時期を決める
改定料金は、一律の値上げ率や成功事例から自動的に決めません。現行範囲、今後の提供範囲、対応体制、継続に必要な条件を事務所内で確認し、顧問先へ説明できる改定案にします。
説明理由は、「相場が上がったから」とまとめず、業務範囲や対応条件のどこが変わるのかを具体化します。顧問先によって前提が異なる場合は、共通の説明文と個別の補足を分け、誰が最終確認するかを決めてください。
適用時期は固定の月数で一律に決めず、現行契約の通知・変更条項、顧問先の検討と説明に必要な時間、合意確認、請求準備から逆算します。顧問契約の継続と解約防止も参考に、改定理由だけでなく、今後の支援範囲と連絡方法を併せて説明します。
通知・説明・合意確認を進める

通知は改定条件を伝える工程であり、それだけで合意を確認したことにはなりません。誰に、どの方法で、何を伝えたかを残し、質問、再説明、条件差異、最終確認までを顧問先別に追います。
顧問先の質問と条件差異を記録する
通知時には、現行条件、改定案、説明理由、適用時期、確認してほしい事項を区別します。担当者が口頭で補足した内容も、後から契約や請求の条件と照合できるように記録してください。
顧問先コミュニケーションの基本に沿って、質問の受付先と回答担当を決めます。回答待ち、再説明が必要、条件の再検討中など、未合意の状態を無理に一つへまとめません。
顧問先から条件の希望が示された場合は、当初案との差異、事務所側の回答、再提示した条件を分けます。電話や面談で確認した場合も、相手方、確認日、確認内容を記録し、担当者の記憶だけを合意の根拠にしないようにします。
合意条件を契約・請求へ反映する

合意を確認したら、合意した料金、業務範囲、適用時期、確認方法を整理し、現行契約に定められた方法で契約変更へ反映します。書面が常に必須とは本記事で一律に断定せず、契約内容と変更方法に応じて個別に確認します。
社会保険労務士法第19条は、開業社会保険労務士が業務帳簿を備え、事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所・氏名または名称などを記載することを定めています。これは業務帳簿の記載事項に関する規定であり、価格決定、値上げ率、通知期間、合意方法の法的根拠にはしません。(出典: e-Gov「社会保険労務士法」)
| 独自9軸 | 移行台帳で整理する内容 | 完了前に確認する記録 |
|---|---|---|
| 顧問先 | 契約相手、連絡先、社内担当 | 対象契約、確認者 |
| 現行料金 | 現在の契約・請求条件 | 確認元、確認日 |
| 現行範囲 | 契約上の範囲、実際の対応 | 範囲差異、追加対応 |
| 改定案 | 改定料金、今後の業務範囲、適用案 | 作成者、内部確認、案の状態 |
| 説明理由 | 共通理由、個別の補足、提供条件 | 説明者、確認資料 |
| 通知 | 相手方、方法、通知内容 | 通知日、到達確認、再連絡 |
| 合意確認 | 合意条件、確認方法、条件差異 | 確認者、確認日、回答履歴 |
| 適用月 | 反映を始める時期、準備状態 | 契約条件、請求準備 |
| 契約・請求反映 | 契約変更、見積・請求内容、反映状況 | 反映担当、確認結果、未完了事項 |
この「顧問先×現行料金×現行範囲×改定案×説明理由×通知×合意確認×適用月×契約・請求反映」は、第19条が示す受けた報酬の額等の記載事項と、本サービスの顧問料項目、対応履歴、見積・請求書PDF、改定工程・反映状況の案件管理という実装事実を別々の出所として組み合わせた独自編集です。法定の改定工程、価格算定式、推奨値上げ率、有効な合意方法、顧客実績を示すものではありません。本サービスの項目や見積・請求書PDFが、第19条の業務帳簿を充足することを意味しません。
契約変更と請求反映は別に確認します。契約条件が更新されても旧条件の見積や請求が残る場合があるため、反映対象、適用時期、確認者、差異の有無を記録してください。
改定漏れと請求差異を防ぐ

改定漏れを防ぐには、顧問先ごとの現在地を一つの「進行中」にまとめないことが重要です。通知前、説明中、回答待ち、条件再確認、合意確認済み、契約反映待ち、請求反映待ちなど、次の行動が分かる状態にします。
未回答・適用月・請求状態を顧問先別に管理する
未回答の顧問先には、最後の連絡、質問の有無、次の連絡担当を設定します。適用月が近いという理由で合意確認を省略せず、条件が固まっていない案件は未確定として請求反映から分けてください。
本サービスでは、顧問料項目、対応履歴、見積・請求書PDF、改定工程と反映状況を案件で管理できます。一方、価格の自動算定、値上げ提案や交渉、電子契約、契約法務レビュー、請求内容の自動確定は行いません。
ここで管理する顧問料は、社労士事務所が顧問先へ請求する料金です。本サービスを利用するためのSaaS料金とは別であり、顧問料改定の金額と製品料金を同じものとして説明しないようにします。
社労士事務所経営の基本も参考に、未回答件数だけでなく、説明に必要な情報、担当者の負荷、請求準備の状態を確認します。案件を閉じる前に、合意条件、契約、見積、請求の内容が一致しているかを別の担当者も確認できる運用にしてください。
よくある質問
顧問料改定は、相場や一律の割合だけで進めず、現行契約と顧問先別の条件を確認します。通知、説明、合意確認、契約変更、請求反映を分けると、未回答や条件差異を見落としにくくなります。
顧問料の値上げは何か月前に通知すべきですか。
まず現行契約の通知・変更条項を確認します。固定の月数だけで決めず、顧問先の検討、説明、合意、請求準備に必要な期間を逆算してください。
顧問先によって契約条件や社内確認の流れは異なります。通知日を一律に置くのではなく、説明担当、質問受付、再説明、合意確認、請求準備の所要を確認し、無理のない適用時期を設定します。
顧問料改定は書面での合意が必須ですか。
契約内容と変更方法によって異なるため、書面の要否は個別に確認します。少なくとも合意した料金、業務範囲、適用時期、確認経緯は記録してください。
メール、面談記録、契約書などのどの方法が適切かは、現行契約や変更内容に応じて確認します。本記事は特定の合意方法を常に有効または必須と断定するものではなく、判断が難しい場合は契約法務の専門家へ確認してください。
社労士HUBで顧問契約を変更できますか。
電子契約機能は訴求範囲外です。社労士HUBでは顧問料情報、対応履歴、見積・請求書、反映状況を管理し、契約変更自体は適切な手段で行います。
製品上の状態を合意済みへ変えるだけで、顧問先との契約が変更されるわけではありません。合意条件を確認し、契約変更と見積・請求への反映をそれぞれ完了したか記録します。
まとめ|説明と合意と反映を別工程で残す
顧問料改定は、現行料金と現行範囲を確認し、改定案、説明理由、通知、合意確認、適用月、契約・請求反映を顧問先別に進めます。通知済み、合意確認済み、契約反映済み、請求反映済みを同じ状態にまとめないことが重要です。
第19条は受けた報酬の額等を業務帳簿へ記載する規定であり、改定価格や通知期間を決める根拠ではありません。現行契約と個別の確認結果に基づき、未回答や条件差異が残る案件を止めて管理してください。
導入コストと利用条件を、公式料金ページで確認
顧問料改定の台帳を整える製品を比較する際は、本サービスの公開料金と利用条件を公式ページで確認できます。利用人数や必要な管理範囲も併せて整理し、顧問先へ請求する顧問料とは分けて事務所の運用に合うかを検討してください。
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